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岡山大、がん治療ロボットを開発 画像見て遠隔操作、4月臨床試験

岡山大が開発した医療ロボット

 岡山大は22日、がんの治療や検査に用いる医療ロボットの開発に成功したと発表した。医師がコンピューター断層撮影装置(CT)の画像を確認しながらロボットのアームを動かし、先端の針を患部に刺して処置する。遠隔操作でCTの放射線による医師の被ばくを避けられ、治療の精度も落とさずにできるという。製品化に向け、4月から同大病院で臨床試験を始める。

 ロボットは、CTなどの画像診断装置を活用したIVRと呼ばれる治療・検査用。同大の金澤右病院長と工学部の松野隆幸准教授(ロボット工学)、亀川哲志講師(同)らのグループが開発した。

 本体からアームが伸びて患者に針を刺し、がんを焼き切ったり、凍らせたりする。検査用に組織の一部を切り取る「生検」にも用いる。医師はCTから離れた場所で画像を見ながらロボットを操作できる。人体模型を使った試験では、手で行うのと同程度の精度と時間で対応できたという。

 IVRの際、医師が日常的にさらされる医療被ばくの問題を踏まえ、2012年1月から開発をスタート。製作は岡山県内の中小メーカーでつくる医療機器共同受注グループ「メディカルネット岡山」(岡山市)に委託した。

 「被ばくゼロ」の意味を込め、「Zerobot(ゼロボット)」と名付けた。まずは生検の臨床試験を20年5月までに10人を目標に実施する。開発グループのメンバーで臨床試験を担当する医学部放射線科の平木隆夫准教授は「針を遠隔操作するロボットは世界でもいまだ実用化されていない。日本発の技術として5年後の製品化を目指したい」と話している。
※登場する人物・団体は掲載時の情報です。

(2018年03月22日 更新)

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