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自閉症 視点変え良さ見つけて 川崎医療福祉大諏訪准教授に聞く

「マイナス面ばかりを見ず、良いところを見つけて」と話す諏訪准教授

 2日は国連が定める「世界自閉症啓発デー」。自閉症をはじめとする発達障害への理解を深めてもらおうと、国内では2~8日を発達障害啓発週間とし、各地で行政、民間の支援団体などによる啓発が行われる。自閉症者の特性や周囲に知っておいてほしいことについて、支援に詳しい川崎医療福祉大(倉敷市松島)の諏訪利明准教授(57)に聞いた。

 ―自閉症とはどのような障害か。

 生まれつきの脳機能障害で、社会性の発達やコミュニケーションのつまずき、興味・関心の偏り、感覚的な過敏さや鈍感さが見られる。知的障害を伴う人とそうでない人、症状が極端に重い人もいればマイルドな人もいる。

 ―厚生労働省によると、症状が軽い人まで含めると約100人に1人いるとされる。

 20年ほど前は1万人に3、4人程度といわれていた。近年は68人に1人や50人に1人とのデータが発表されている。アスペルガー症候群、広汎性発達障害などを含めて「自閉症スペクトラム障害」「自閉スペクトラム症」といった名称で診断される人が増えたことも背景にある。

 ―1歳半ごろには、いくらか気になる行動が現れていると聞く。

 幼児期に周囲が気付くためのポイントとして、周りの子がする行動をしないことが挙げられる。例えば、人の顔を見ない▽名前を呼んでも振り向かない▽指さしに反応しない―など。親が早めに気付いて必要な練習を一緒に始めれば後の発達にプラスになる。自閉症は治らないが症状や行動を改善することはできる。「あれ?」と思うようなことがあれば、子育て支援センターや発達障害者支援センターなどに相談するといい。

 ―自閉症の人とどう接したらいいか。

 自閉症というとマイナス面を捉えられがちだが「何が得意なんだろう」と周りが視点を変え、良さを見つけてやることが大切だ。好きなことに対する集中力、興味・関心の強さはすごい。一度理解すると最後までとことんやる。実際にそういう良さを発揮して社会で仕事をしたり、他者と付き合ったりしている人はいる。

 ―世界自閉症啓発デーに期待することは。

 みんなで自閉症について話したり、考えたりするきっかけになれば。自閉症という言葉が特別ではなく、普段から接する当たり前の言葉となるような、寛容で優しい社会になってほしい。当事者たちも啓発デーを機に自身の自閉症について理解し、上手に伝えられるようになっていけばいいと思う。

 すわ・としあき 上智大大学院博士前期課程教育学専攻心理コース修了後、神奈川県の県央療育センター勤務、海老名市立わかば学園長など経て2012年4月から現職。専門は自閉症支援プログラムのTEACCH(ティーチ)と自閉症の評価・早期療育。愛知県出身。岡山市在住。
※登場する人物・団体は掲載時の情報です。

(2018年03月31日 更新)

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