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性同一性障害で初の保険適用手術 岡山大病院、費用自己負担3割に

岡山大病院で行われた性同一性障害の人に対する手術

 心と体の性が一致しない性同一性障害(GID)の人に対する性別適合手術が今月、新たに公的医療保険の対象となってから、全国で初の保険適用となる手術が6日、岡山大病院(岡山市)で実施された。乳房を切除して女性から男性の体にする手術が近畿地方在住の20代に行われ、費用の自己負担は3割となった。

 性別適合手術を巡っては、当事者が自由診療のホルモン療法を受ける場合、保険診療と自由診療との併用を原則禁じた「混合診療」に該当するため今月以降も保険が効かず、全額自己負担となる。患者の大半がこれに当てはまるが、今回の当事者はホルモン療法を始めていなかった。保険適用によって従来60万円以上かかっていた自己負担が20万円超で済む見通し。

 当事者は手術前の取材に「差別で就職がままならない当事者にとって高額の医療費がハードルとなってきただけに保険適用は大きな前進。今年の夏からは胸のことを気にせず海に行ける」と語った。

 手術は午前9時すぎに始まり、昼前に無事終了。執刀した岡山大病院ジェンダーセンター長の難波祐三郎教授は「性別の違和感に苦しむ人が貧富の差に関係なく平等に治療を受けられるよう、今後はホルモン療法の保険適用に向け取り組んでいきたい」としている。

 同病院は性別適合手術を安全に受けられる施設としてGID学会から3月に認定され、厚生労働省の保険適用基準も満たしている。
※登場する人物・団体は掲載時の情報です。

(2018年04月06日 更新)

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