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AMDAが益城町職員にはり治療 熊本震災復興事業の疲れ癒やす

益城町職員の疲れを癒やす鍼灸師(AMDA提供)

 2016年4月の熊本地震で甚大な被害を受けた熊本県益城町(ましきまち)で、国際医療ボランティアAMDA(岡山市北区)が、同町職員を対象にしたはり治療に取り組んでいる。復興事業に携わる行政職員は、被災者であっても支援対象からは外れがちで、長期間にわたる激務で疲労が蓄積しているケースが多いという。5人の鍼灸(しんきゅう)師が、一人一人の状況を聞きながら治療に臨み、心身の癒やしに一役買っている。

 AMDAは東日本大震災で鍼灸師を初めて派遣し、被災者全般をサポートしてきた。行政職員を対象にした益城町での取り組みは、同町出身の難波妙理事(54)が発案した。

 16年12月に亡くなった熊本県宇土市の職員男性=当時(51)=の出来事がきっかけ。男性は難波理事の友人の夫で、被災者支援や復興業務に携わっていた中で急死したという。行政職員は住民の要望に耳を傾け、実現させようと奔走する立場でもあり、難波理事は「疲れていてもなかなか公には言いづらいのでは」と話す。

 災害鍼灸プログラムとして、17年7月から月2回のペースで実施。AMDAに登録している益城町や熊本市の鍼灸師が、町役場で施術(1回30分)に当たる。

 これまでに延べ300人以上が利用し、中には他県からの応援職員もいる。鍼灸師によると、腰や目の疲れ、肩こりを訴える人が多く、「眠れない」「疲れが取れない」といった声がよく聞かれるという。

 今月で地震発生から2年を迎え、5月以降の活動は町と話し合った上で決めていく方針。現地でリーダーを務める鍼灸師吉井治さん(49)は「本格的な復興事業はこれから。少しでも疲労を軽減できるよう引き続き手伝いたい」と気を引き締める。
※登場する人物・団体は掲載時の情報です。

(2018年04月16日 更新)

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