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岡山にがん患者家族支えるカフェ 6月から母亡くした看護師が開催

がん闘病中患者の家族が悩みや不安を語り合うがんカフェの開催を準備する菱沼さん

 闘病中のがん患者を支える家族を対象とした「家族のためのがんカフェ」が6月から岡山市で始まる。自身も母をがんで亡くした女性看護師が、患者本人や医療者にも話せない悩みや不安を分かち合おうと呼びかけた。哲学者の協力を得て、安心して参加できる対話の場づくりに取り組む。

 岡山県内の総合病院に勤務する菱沼路代さん(35)=岡山市北区=が、街中で自由に哲学的な対話を楽しむ「哲学カフェ」を普及させている団体「カフェフィロ」と共催する。

 菱沼さんの母は2007年、肝臓がんのため55歳で亡くなった。診断時に余命半年と告げられたが、本人には余命は言えなかった。一人娘の菱沼さんは強い葛藤を抱えたまま大学生生活を送り、母を看取(みと)った後は引きこもり状態に。心の重さは何年も続いたという。

 看護師として勤務する病棟でも多くのがん患者家族と接してきたが、患者の治療が優先され、ゆっくり家族の気持ちを受け止めるのは難しい。病院ごとにがんサロンやカフェが開かれているものの、家族に絞った集まりは見当たらなかった。

 「患者本人には言えない家族の感情を表に出すサポートをしたい」と訴えている時に知り合ったのが、カフェフィロ副代表の松川絵里さん(38)=岡山市北区=だった。2人は家族の「心のケア」の必要性で共感し、家族カフェを立ち上げることにした。

 初回は6月5日午後2時から、ゆうあいセンター(岡山市北区南方)で開く。まずは参加者同士の信頼関係を築き、互いを癒やす場になることを目指す。参加者が何を求めているか見極め、定期的な開催を検討する。

 進行役を務める松川さんは、緩和ケア病棟で患者や家族をカウンセリングした経験があり、「一人では整理しきれない気持ちも、同じ家族同士なら理解してもらえることがあるのではないか」と話している。参加費500円(お茶代)。
※登場する人物・団体は掲載時の情報です。

(2018年05月21日 更新)

タグ: がん医療・話題

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