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不満鎮める妙薬?「こそ丸」人気 岡山旭東病院に全国から注文次々

ロングセラーとなっている岡山旭東病院の「こそ丸」

 不平や不満を鎮め、身近な人への感謝の気持ちを高めるとされる岡山発の“妙薬”がロングセラーとなり、全国から注文が舞い込んでいる。成分は愛情、謙虚、感謝、元気で、錠剤が見える人と見えない人がいる、との注意書きがある不思議な薬だ。

 薬は岡山旭東病院(岡山市中区倉田)が、院内の売店に置いている。プラスチック容器のラベルには、不平や不満、ねたみやストレスで心身に不調を来した時に、「○○がおればこそ」と親や子、妻、友達など大切な人の名を唱えながらコップ1杯の水とともに飲むよう書かれている。

 これにちなみ、商品名は「こそ丸(がん)」。ただし中身は空っぽ。「全てはユーモア、遊び心ですよ」。薬を考案した土井章弘院長(78)が種明かしをする。

 かつて知人から「大事な人の名前を唱えながら水を飲むと気持ちを切り替えられる」と聞いて感動。「誰もが幸せな気持ちになれるように」と商品化した。

 2007年6月から販売(1個108円)を始め、口コミなどを通じて全国各地に話題が広がった。電話注文による累計販売は約3万5300個に上り、売店でも多い月には100個ほど売れるという。外国人向けに英語、中国語、韓国語、ドイツ語のラベル表記もある。

 土井院長によると、診察のたびに亡くなった夫の悪口を言っていた女性患者は、薬を手にしてから夫への愛情がよみがえり、「夫婦で薬を飲みたかった」と話すようになったという。「夫婦円満な日々が戻った」といった礼状が何通も寄せられ、結婚式の引き出物や新婚夫婦へのプレゼントとしても購入されている。

 土井院長は「効くか効かないかは心掛け次第。お金や名誉よりも大切なものを思い出すきっかけにしてほしい」と話す。
※登場する人物・団体は掲載時の情報です。

(2018年06月04日 更新)

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