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岡山旭東病院のサイバーナイフ新機種に 体幹部がんにも使用へ

岡山旭東病院が導入した最新機種「サイバーナイフM6」と津野和幸サイバーナイフセンター長。患者は手前の寝台に横たわり、ロボットアーム(左)の先端から放射線を照射して治療する

放射線ビームの太さを患部に合わせて自動的に切り替えるコリメータ(岡山旭東病院提供)

 岡山旭東病院(岡山市中区倉田)は、高精度ロボットを駆使した定位放射線治療装置のサイバーナイフを最新機種の「M6」に更新した。治療時間を短縮することができ、これまで治療してきた頭蓋内の腫瘍や血管奇形、頭頸部(とうけいぶ)がんに加え、肺がん、肝臓がんなど体幹部のがん治療への使用を目指している。

 新機種では、放射線ビームの絞りに相当する「コリメータ」装置が可変式になった。旧機種ではビームの太さを変えるためにその都度、手動でコリメータを交換していたが、新機種では治療中、患部の形状に合わせて絞りがリアルタイムで自動的に切り替わる。

 また、1分間当たりに照射できる放射線(線量率)が2.5倍になり、より短時間で必要な線量が照射可能となった。従来は1回30~50分程度かかっていた治療時間は20~30分に短縮されている。

 さまざまある定位放射線治療装置の中でも、サイバーナイフはロボットアームがミリ単位以下の精度で動作し、治療中に患者がわずかに動いても、患部を自動的に追尾してピンポイントの照射を続けることができる。周りの正常組織への影響をできるだけ小さくし、患部を狙い撃ちする。

 新機種では追尾・補正するトラッキング機能の精度もより高くなった。患者の動きを撮影したエックス線を受像するフラットパネルは床面に埋め込まれ、治療の空間的な自由度も向上している。

 サイバーナイフは通常、患者が治療用寝台にあおむけになって治療を行うが、新機種ではうつぶせでも治療できるようになった。これにより、消化管などの臓器への放射線照射を避け、より安全に肝臓、腎臓、椎体など体幹部の病変を治療できる。必要な機器を追加整備しており、夏ごろにはそろう見込み。

 新機種は既に3月中旬から稼働しており、津野和幸サイバーナイフセンター長(57)は「患者さんの位置合わせが容易になり、治療時間も短くなった」と話す。5月12日には医療関係者向けに記念講演会を開き、新機種のメリットを説明し、治療対象となる患者の紹介を呼びかけた。

 岡山旭東病院は2000年からサイバーナイフを導入し、国内有数の約4500例の症例を積み重ねている。問い合わせは同病院(086―276―3231)。
※登場する人物・団体は掲載時の情報です。

(2018年06月04日 更新)

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