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生活習慣病 温泉で防げ 真庭保健所、湯原で調査 動脈硬化改善や血圧低下 「湯治」効能裏付け

 温泉は生活習慣病の予防改善に効き目あり―。真庭保健所が真庭市・下湯原温泉の入浴客を対象にした調査で、入浴前と比べて、半数以上が動脈硬化の指数が改善し、血圧も低下することが分かった。「湯治」など、昔から語り継がれた効能がデータで裏付けられたのは珍しく、九月の日本公衆衛生学会(札幌市)で発表される。

 下湯原温泉は一般的なアルカリ単純泉。昨年七月から十一月、百四人(十九~八十二歳)に対し、入浴前と直後の各種データを調べた。

 マイナスで表される値がゼロに近いほど、状態が良いとされる細血管動脈硬化指数は、入浴前のマイナス〇・三四(平均)から、入浴後は半数以上の五十八人が改善し、マイナス〇・三〇(同)になった。最高血圧(入浴前平均一三四)も六十人が五ポイント以上低下。中には三〇ポイント以上も下がった七十代女性もいた。

 動脈硬化や高血圧は、食生活の影響のほか、血管内の筋肉が老化でこわばった状態に陥ることが一因とされる。優れた温熱効果が血流を促進し、血管壁で生み出された一酸化窒素が筋肉を緊張から解きほぐし、状態を改善したとみている。

 阿部ゆり子所長は「下湯原と同じ泉質を持つ多くの温泉で同様のデータが得られるだろう。水道水を熱した風呂より温泉の方が温熱効果は高く、温泉入浴を習慣化することで一層の効能が期待できる」と話している。


意義ある調査

 元岡山大病院三朝分院長で温泉療法に詳しい森永寛・同大名誉教授(リウマチ学)の話 湯原温泉郷の効能を数値で示した意義ある調査で、温泉を活用したまちづくりにも役立つ。カロリーを控えた食事やウオーキングなどを温泉入浴と組み合わせることで、生活習慣病の予防改善がより効果的になるだろう。
※登場する人物・団体は掲載時の情報です。

(2005年08月12日 更新)

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