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ゲノム編集応用でがんの増殖抑制 川崎医科大研究グループが成功

 川崎医科大の深沢拓也准教授(呼吸器外科)らの研究グループは、遺伝子を改変する「ゲノム編集」技術を応用し、がん細胞の増殖を抑制することに成功した。マウスを使った実験で効果を確認、新たな治療法の確立につながる成果として期待される。26日付の米科学誌電子版で発表した。

 「ゲノム編集」は生物の遺伝子を自由に改変できる技術で、狙った遺伝子を壊して働かせなくしたり、一部を変えて別の遺伝子を挿入したりする。これまでに複数の手法が確立されている。

 グループは、がん遺伝子が細胞の増殖に必要な遺伝情報を読み取れなくする新たなゲノム編集技術を開発。より高い効果が見込めるよう、一度に複数の遺伝子を標的にできるという。

 この技術を用い、肺がんや食道がんで活発に働き、がん化を促進している遺伝子をターゲットに実験した結果、増殖が抑制できていることを細胞レベルで確認。ヒトのがん細胞を移植したマウスを使った実験でも腫瘍形成が起こらなかった。

 研究は日本医療研究開発機構(東京)の助成を受け2016年11月に開始。広島大と国立がん研究センターと共同で取り組んだ。

 深沢准教授は「新技術は他のがん遺伝子の発現も抑えられ、幅広い適応が可能だ。がん治療への応用を目指し、基礎研究を進めていきたい」としている。
※登場する人物・団体は掲載時の情報です。

(2018年06月26日 更新)

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