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「専攻医」228人を県内で採用 4月スタートの新たな専門医制度

 内科や外科など特定の診療領域で原則3年間の研修を積む新たな専門医制度が4月から始まり、2年間の初期研修を終えた228人が「専攻医」として岡山県内で採用されたことが、各医療機関への取材で分かった。研修を終えた医師は引き続きその地域に定着する傾向があり、将来的な人材の確保につながると期待される。

 県内では研修プログラムを行う19の基幹施設が専攻医を募集し、採用数のトップは岡山大病院の111人。指導医や設備が充実していることに加え、中四国を中心とした連携施設でも研修を積める点が評価された。金澤右病院長は「岡山大病院で初期研修を終えた医師だけでなく、他県からも専攻医が集まった」と話す。

 その他は倉敷中央病院38人、川崎医科大付属病院31人、国立病院機構岡山医療センターと岡山市立市民病院が各10人、岡山済生会総合病院7人など。新制度は症例数が多い大都市に人材が集中して地域の医師不在や偏在を加速するとの懸念も出ていたが、県全体でみれば3月に研修を修了した初期研修医176人を52人上回っている。

 一方、病院の規模や地域によっては採用に苦労するケースも。水島協同病院、林道倫精神科神経科病院、慈圭病院、哲西町診療所は採用者がゼロで、残る9基幹施設も1~4人にとどまった。

 岡山市内のある基幹施設の担当者は「大規模病院は症例数も多く、スタッフも充実している。中小の施設だと毎年度の採用は難しい」とし、県北の基幹施設の指導医は「指導医自体が多くない。研修の質を保とうと思えば、それほど多くは募集できない」と打ち明ける。

 今回の募集に関しては、東京など大都市に研修希望先が集中するのを防ぐため、5都府県で診療科の定員に上限が設けられた。全国自治体病院開設者協議会は5月中旬、5~10年後には地方で地域医療の確保が危ぶまれるとして、診療科を含めた偏在の是正を国に要望している。

 県医療推進課は「一定数の人員が採用されたこと自体はよかったが、今後専門医志向が進めば症例数の少ない地方に人が集まらなくなる可能性がある。新制度の動向を注視する必要がある」としている。
※登場する人物・団体は掲載時の情報です。

(2018年07月03日 更新)

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