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暑く長引く避難は突然死の危険 岡山赤十字病院の斉藤副部長解説

斉藤博則副部長

 西日本豪雨で岡山県では、自宅に戻れない被災者が約4千人に上る。9日に梅雨明けし、30度を超える厳しい暑さが続く中、被災地ではどのような点に注意して生活を送る必要があるか。倉敷市真備町地区で7、8の両日、救護活動に向け岡山赤十字病院(岡山市北区青江)先遣隊として支援に当たった斉藤博則・循環器内科副部長に聞いた。

 避難所で寝泊まりする多くの被災者が、狭いスペースで長時間同じ姿勢でいると、血液の流れが滞り、脚の静脈に血栓ができるエコノミークラス症候群になりやすい。避難生活が始まって5日程度たつと起きやすくなり、11日がその日に当たる。血栓が肺の血管を詰まらせると呼吸困難に陥り、突然死する恐れがある。予防には運動が欠かせない。体操などでしっかり脚を動かしてほしい。歩くのが不自由な人は、脚を圧迫する弾性ストッキングを利用するのも効果的だ。

 水分不足にも注意してほしい。気温が高く、脱水症状になりやすい夏場は、血液がドロドロ状態になって血栓ができやすくなる。血管が詰まることで脳梗塞や心筋梗塞を引き起こす危険性がある。避難所ではトイレに行くのを我慢する傾向があり、水分を控える人もいる。トイレの回数が増えたとしても、血栓を防ぐにはしっかり水分を取ってほしい。家の片付けの際に汗が出た場合にも水分補給を忘れずに。

 今、特に心配なのは体力が落ちてきた高齢者だ。設備が整った衛生的な施設に移ってほしい。岡山赤十字病院は被災者の受け入れ体制を整えており、調子が悪くなった場合は救急車両で搬送することもできる。自ら水分補給と運動に努め、災害関連死を防ごう。
※登場する人物・団体は掲載時の情報です。

(2018年07月11日 更新)

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