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倉敷・真備で「薬局車」活躍 避難所へ出動、車内で医薬品調剤

岡田小の避難所で調剤した薬を被災者に手渡すスタッフ=17日

アイ薬局が運用する移動型薬局車

 西日本豪雨により甚大な浸水被害が出た倉敷市真備町地区で、民間の「移動型薬局車」が活躍している。災害救助法を適用し、避難所に出向いて車内で調剤した医薬品を無償提供。運用する総社市門田の「アイ薬局」は「薬を持って逃げる余裕がなかった人も多い。フル稼働して皆さんの健康維持に貢献したい」としている。

 薬局車は、ドクターカーとして使われていたワンボックス車を専門家の監修で改造し、毎日の服用が必要な慢性疾患薬を中心に常時100種類程度を積載。無菌状態で調剤できる装置や保冷庫をはじめ、ソーラーパネルや発電機も備えている。2011年の東日本大震災を教訓に、発生が懸念される南海トラフ地震への備えとして同社が今年3月、導入した。

 被災地への出動は今回が初で、岡山県薬剤師会の要請を受けて現在300人以上が身を寄せる岡田小学校(倉敷市真備町岡田)に11日から滞在。校内の医務室で被災者を診察している医師の処方箋に基づき、午前11時半~午後5時半、県外の薬剤師有志の助けも借りながら薬の提供・補充業務に当たっている。

 同社によると、糖尿病や不眠症の患者、自宅清掃中に切り傷を負った人など、1日平均50人以上が利用。長男(4)と長女(7)の皮膚炎を抑える塗り薬を取りにきた女性(39)=倉敷市=は「自宅から持ち出した薬が切れそうになって一時は不安だったけれど、きちんとした医療ケアが受けられて安心」と話していた。

 岡田小には20日まで滞在し、その後は要請に応じて活動する。村木理英社長(57)は「災害時の薬品供給の遅れは命に関わる。被災者の安全を守るため、必要とされる場所で責任を持って対応したい」としている。
※登場する人物・団体は掲載時の情報です。

(2018年07月19日 更新)

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