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看護師6割に心的外傷 川崎医福大の新山助手調査 患者らの死や暴言、ミス 強いストレス裏付け

新山悦子助手

 患者の死などに日常的に接する看護師の約六割が仕事で何らかのトラウマ(心的外傷)を経験していることが、川崎医療福祉大保健看護学科の新山悦子助手(看護学、写真)の調査で分かった。夜間労働などの激務で、新人ナースの約一割が一年以内に離職する(日本看護協会調査)現状の中、看護師の仕事の強いストレスが裏付けられた。

 調査は二〇〇四年三、四月に実施。中四国のある県を選び、複数の病院にアンケート用紙を配布。過去にトラウマと感じたことや自分なりにどのように解決したかなどの質問(五項目)に、希望者が自由記述で回答した。有効回答は百十六人(平均年齢三六・三歳)。

 その結果、トラウマ経験者は62・1%(七十二人)。経験者の半数以上は、患者の容体急変や子どもの死、患者や家族の自殺などを直接自分が目撃するなどしてのもので、ほかの要因としては患者やその家族、医師や上司、同僚からの「暴言」、仕事上のミスなどが挙げられた。

 対処法では、「先輩に助言を求めた」など積極的な行動をとった回答者が多く、「あきらめる」などの消極的対処は少なかった。

 新山助手は「日常業務で、看護師の多くが経験していることが分かった。看護する側がこのような状態では患者へのケアの質は向上しない」と指摘。「将来、うつ病やPTSD(心的外傷後ストレス障害)につながる恐れもある。仕事上、避けられないものもあるが、まずは自分のトラウマを認識し、有効な対処法を検討する必要がある」と話している。


教育上参考に

 古城幸子新見公立短大看護学科長(老年看護学)の話 新人ナースの離職率の高さの一因にはトラウマの関与が挙げられる。教育的視点から、実習時に感じた学生にどう対応すべきかを考える際の参考になる。


ズーム

 トラウマ 震災や交通事故、人の死など、大きな心理的ショックを受けることで後々まで記憶に残る体験。強い恐怖感や無力感が長期的に続く場合には、PTSD(心的外傷後ストレス障害)やうつ病などが考えられる。
※登場する人物・団体は掲載時の情報です。

(2005年08月16日 更新)

タグ: 健康精神疾患

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