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脳梗塞に有効なtPA治療 実践病院の1割中止 川崎医大の木村教授ら調査 専門医不足など理由

 脳梗塞(こうそく)の治療に有効な血栓溶解剤「tPA」による治療を行っていた病院の約1割が、専門医がいないなどの受け入れ態勢不足を理由に、2007年から08年までの1年間に治療をやめていたことが、川崎医科大の木村和美教授(脳卒中科)を主任研究者とする厚生労働省研究班の全国調査で分かった。

 調査は昨年10―11月、急性期脳卒中診療を行っている1466施設を対象に実施。945施設から有効回答を得た(回答率64・5%)。

 調査によると、脳梗塞治療にtPAが保険適用された05年10月以降に治療が可能となったのは437施設。これに対し、45施設はいったん始めたものの、07年10月―08年9月の間にやめた。岡山県で中止した施設はゼロだった。

 治療をやめた理由については、40施設が「脳卒中専門医を中心とした診療チームがない」と回答。「専門の常勤医が1―2人しかいない」「集中治療病棟や病床がない」などの項目についても、大半の施設が中止理由に挙げた。

 中止した45施設に対し、新たに治療が可能になったのは岡山県の1つを含む29施設で、総数で16減った。

 木村教授は「tPA治療の鍵を握るのは人材という点があらためて浮き彫りになった。急性期の脳卒中患者を受け入れているすべての病院が同治療を導入できるよう、国は専門医の育成に取り組む必要がある」と指摘している。

ズーム

 tPA 血中にあるプラスミノゲンというタンパク質を、血栓を溶かすプラスミンという酵素に変える働きを持つ。脳梗塞発症から3時間以内に効果がある。治療に当たっては、画像診断が24時間可能で十分な人員や設備を有していることなどが求められる。
※登場する人物・団体は掲載時の情報です。

(2009年04月19日 更新)

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