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県内精神科医ら「愚痴庵」設立へ 誰もが悩み言える場を目指す

愚痴庵の開催場所で運営方針を話し合う準備会のメンバー=7月初め、岡山市

 岡山県内の精神科医や保健師らは、誰もが日頃の不満や悩みを気軽に言い合える「愚痴庵」を設立し、16日に岡山市内で記念講演会を開く。年間2万人を超す自殺者や続発する凶悪事件の背景に社会的な孤立が指摘される中、10月から月2回、岡山市内で開設し、愚痴を通じて人と人とのつながりを取り戻す場を目指す。

 愚痴庵は県精神保健福祉センター所長などを務めた山本昌知医師(82)=同市中区=が発起人となって昨年7月に準備会を発足。元日本精神神経学会理事長の佐藤光源・東北大名誉教授や元県衛生部長の大森文太郎・万成病院名誉院長らベテラン医師が参加しているほか、黒住教の黒住宗晴名誉教主も協力している。

 愚痴庵は10月1日を初回に毎月第1月曜と第3日曜の午後1時~4時、岡山市北区岩田町にある精神資料館・カイロスで開催。毎回、ボランティアのスタッフが数人待機し、話を聞く。医療や福祉など専門的な支援が必要な場合は支援機関に紹介するなど個別に対応する。参加無料。

 山本医師は日々の診察で、周りに悩みや不安を打ち明けられず、孤立する患者を多く見てきた。「自分らしさを出せる人間関係が社会に不足している」として、医療や福祉の枠にとらわれない居場所づくりを考えた。

 山本医師は「単なる愚痴でもいいし、参加者同士で趣味の話や哲学を語り合ってもらってもいい。多様な人たちが集まり、自らの生き方について学び合う場にしたい」と話している。

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 愚痴庵の設立記念講演会は16日午後2時から岡山市北区柳町の山陽新聞社さん太ホールで開かれる。江戸時代、岡山藩主池田光政に仕え、人間は自然の一部で全て横並びだと唱えた儒学者・熊沢蕃山をテーマに藤原良雄・藤原書店社長が講演する。参加費500円。問い合わせは中国シルバーライフ協会(0120―920―468)の河合行利さん。


※登場する人物・団体は掲載時の情報です。

(2018年09月09日 更新)

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