微量液体でも成分分析 血液応用へ 岡山大院准教授らイオン計測成功
岡山大大学院の紀和(きわ)利彦准教授(計測工学)らのグループは、電磁波の「テラヘルツ波」を使い、蚊が1回に吸う血液の100分の1程度の量で水素イオン濃度を測ることに成功した。血液の成分分析に応用できる研究成果で、医療分野での実用化が期待される。
テラヘルツ波は1秒間に約1兆回振動する。金属以外の物質を透過する特徴があり、空港でプラスチック製爆弾などを見分ける検査に用いられているが、血液など液体では電磁波が吸収されてしまうため活用が難しかった。
紀和准教授らは、この課題を克服するため、人工サファイアの基板や半導体などを組み合わせたセンサーを製作。センサーの上に液体を落とし、レーザーを当ててテラヘルツ波を発生させ、その振幅の大きさで成分を分析できる顕微鏡を開発した。
これまでの分析結果では、最も少ない量で、蚊が吸う血液の約100分の1に当たる16ナノリットル(ナノは10億分の1)の液体から、pH(水素イオン指数)を計測できたほか、ナトリウムイオンやカリウムイオンの濃度、タンパク質の量などを調べることに成功した。
いずれも血液中にある成分で、今回の技術を応用すれば、体への負担が少ない血液検査が実現する可能性があるという。分析も瞬時に終わるメリットがある。日米両国で特許を取得済み。
紀和准教授は「血液に含まれるあらゆる成分を一度に分析できる装置を今後3年間で完成させるのが目標。さらなる改良や分析実験を進めたい」と話している。
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テラヘルツ波は1秒間に約1兆回振動する。金属以外の物質を透過する特徴があり、空港でプラスチック製爆弾などを見分ける検査に用いられているが、血液など液体では電磁波が吸収されてしまうため活用が難しかった。
紀和准教授らは、この課題を克服するため、人工サファイアの基板や半導体などを組み合わせたセンサーを製作。センサーの上に液体を落とし、レーザーを当ててテラヘルツ波を発生させ、その振幅の大きさで成分を分析できる顕微鏡を開発した。
これまでの分析結果では、最も少ない量で、蚊が吸う血液の約100分の1に当たる16ナノリットル(ナノは10億分の1)の液体から、pH(水素イオン指数)を計測できたほか、ナトリウムイオンやカリウムイオンの濃度、タンパク質の量などを調べることに成功した。
いずれも血液中にある成分で、今回の技術を応用すれば、体への負担が少ない血液検査が実現する可能性があるという。分析も瞬時に終わるメリットがある。日米両国で特許を取得済み。
紀和准教授は「血液に含まれるあらゆる成分を一度に分析できる装置を今後3年間で完成させるのが目標。さらなる改良や分析実験を進めたい」と話している。
(2018年09月09日 更新)