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じん肺患者同盟岡山県連合会 アスベスト吸入調査 700人対象、地方組織で初

 アスベスト(石綿)による健康被害が問題化する中、全国じん肺患者同盟県連合会(備前市西片上、横山秋男会長)は、すべての会員約七百人を対象に、過去のアスベスト吸入の疑いを調べるアンケートをしている。潜伏期間が約四十年といわれるがんの一種・中皮腫や肺がんの発症リスクを探り、健診などの対策につなげる。アスベストに関する本格調査は、同患者同盟に約六十ある支部組織で初めてという。

 連合会によると、会員の大半は東備地域で耐火物産業に過去に従事し、粉じんが肺にたまるじん肺の労災認定を受けているが、アスベスト被害は不明。耐火れんが産業では以前、れんがを焼いたり乾燥する炉の断熱用などでアスベストが使われたとみられ、被害調査に乗り出した。

 アンケートは過去にアスベストを扱った作業時期と会社名を記入。該当の職歴を確認するため上司や同僚名も記入してもらう。県連合会の八支部を通じ各会員宅を訪問し用紙を配る。

 八月末をめどに回収。アスベスト吸入が疑われる会員には、専門医の健診を呼び掛け、吸入の跡が認められれば、退職後も年二回の健診が公費で受けられる健康管理手帳の申請を勧める。今後、会員がアスベストによる中皮腫や肺がんで死亡した場合、これらの資料を労災申請に役立てる。

 一九五〇~七〇年代に耐火れんが産業で働いていた横山会長は「自分もアスベストを扱った覚えがあり吸った人はかなりいるはず。今後は、既に死亡した元会員の家族への聞き取りも行い、労災認定による救済も図りたい」としている。
※登場する人物・団体は掲載時の情報です。

(2005年08月18日 更新)

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