前立腺がん骨転移注意 岡山のセミナーで患者ら呼びかけ
急増する前立腺がんは既に、男性の部位別がん罹患(りかん)数トップになったとみられている。治療がよく効き、ほとんどの患者が5年以上生存できる一方、転移することもあり、特に痛みやしびれ、まひを伴う骨転移は生活を困難にする。9月2日、岡山市で開かれた前立腺がんのセミナーは転移に焦点を当てた。登壇した専門医が最新の治療法を説明し、骨転移を経験した患者は小さな症状でも我慢せず、早めに主治医に訴えることが大切だと呼びかけた。
患者・家族団体のNPO法人腺友倶楽部(兵庫県宝塚市)、科学的根拠に基づくがん情報を発信する認定NPO法人キャンサーネットジャパン(東京)、バイエル薬品が共催し、岡山県内を中心に約150人の患者、家族が参加した。
診断・治療については岡山大学大学院の専門医が解説した。渡邉豊彦准教授(泌尿器病態学)が司会を務め、講演した荒木元朗講師(同)は「前立腺がんは怖くないが、長くつき合わなければならない」と前置きし、男性ホルモンの働きを抑える治療の効果がない「去勢抵抗性」のがんでは、約80%の高い頻度で骨転移が起きると注意した。
骨転移に対する新しい治療として、放射線の中でもエネルギーの高いアルファ線で転移巣を攻撃する注射薬の効果も紹介した。
勝井邦彰准教授(陽子線治療学)は放射線治療を取り上げた。放射線源を密封した小さな容器をがんの近くに埋め込む「密封小線源」、患部の形状に合わせて放射線量を調整できる「強度変調放射線」、正常組織への影響が少ない陽子線を照射する治療などが行われ、骨転移の痛みを緩和するためにも放射線治療が有効だと話した。
前立腺がんと6年以上闘い、骨盤、脊椎、肋骨(ろっこつ)などへの転移も経験した川崎陽二さん=徳島県阿南市=は「全身を針で刺されるような痛みで眠れなかった」と振り返った。放射線、神経ブロック、内視鏡手術などさまざまな治療に耐えた現在は「骨転移があっても明るい未来はある」という心境に。自己判断せず、主治医に症状を伝えることを強く勧めた。
腺友倶楽部の武内務理事長は、多くの患者がいるにもかかわらず、必要な情報が見つからなかった体験から、患者団体の設立に至った経緯を話した。
参加者にはボタン式回答装置が配られ、その場で講演での学習内容を確認した。また、小グループに分かれて病状や再発への不安を話し合い、登壇者に治療法などについて質問していた。
※登場する人物・団体は掲載時の情報です。
患者・家族団体のNPO法人腺友倶楽部(兵庫県宝塚市)、科学的根拠に基づくがん情報を発信する認定NPO法人キャンサーネットジャパン(東京)、バイエル薬品が共催し、岡山県内を中心に約150人の患者、家族が参加した。
診断・治療については岡山大学大学院の専門医が解説した。渡邉豊彦准教授(泌尿器病態学)が司会を務め、講演した荒木元朗講師(同)は「前立腺がんは怖くないが、長くつき合わなければならない」と前置きし、男性ホルモンの働きを抑える治療の効果がない「去勢抵抗性」のがんでは、約80%の高い頻度で骨転移が起きると注意した。
骨転移に対する新しい治療として、放射線の中でもエネルギーの高いアルファ線で転移巣を攻撃する注射薬の効果も紹介した。
勝井邦彰准教授(陽子線治療学)は放射線治療を取り上げた。放射線源を密封した小さな容器をがんの近くに埋め込む「密封小線源」、患部の形状に合わせて放射線量を調整できる「強度変調放射線」、正常組織への影響が少ない陽子線を照射する治療などが行われ、骨転移の痛みを緩和するためにも放射線治療が有効だと話した。
前立腺がんと6年以上闘い、骨盤、脊椎、肋骨(ろっこつ)などへの転移も経験した川崎陽二さん=徳島県阿南市=は「全身を針で刺されるような痛みで眠れなかった」と振り返った。放射線、神経ブロック、内視鏡手術などさまざまな治療に耐えた現在は「骨転移があっても明るい未来はある」という心境に。自己判断せず、主治医に症状を伝えることを強く勧めた。
腺友倶楽部の武内務理事長は、多くの患者がいるにもかかわらず、必要な情報が見つからなかった体験から、患者団体の設立に至った経緯を話した。
参加者にはボタン式回答装置が配られ、その場で講演での学習内容を確認した。また、小グループに分かれて病状や再発への不安を話し合い、登壇者に治療法などについて質問していた。
(2018年10月15日 更新)