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赤磐「たけのこの家」オープン1年 高齢者に元気、子育て不安を解消 統合ケアで地域に活力 異世代交流が効果

そうめん流しを楽しむ「たけのこの家」の利用者ら。高齢者と子どもが楽しい時間を共有する

 介護の必要な高齢者と、乳幼児を抱える保護者を支援する、ユニークな「統合ケア」に取り組むデイサービス施設・たけのこの家(赤磐市桜が丘東)がオープンして一年が過ぎた。世代の異なる利用者同士の交流を通じ、高齢者が元気を取り戻したり、若い母親も子育てへの不安が和らぐ―などのメリットが分かってきた。

 たけのこの家は二〇〇四年七月、大規模住宅団地・岡山ネオポリス内に開所。大阪の合唱団で知り合い、岡山へ移り住んだ人たちでつくるNPO法人・元気交流クラブ(澤健理事長)が、地域住民が支え合うケアの形を示そうと運営している。介護保険制度のデイサービスと同時に、独自メニューとして親子の預かりを行う。

 オープン当初の利用者数は高齢者、親子を合わせて約二十人だったが、現在は約五十人に増えた。一日平均十人程度が訪れる。「当初はお互いを知るためにイベントを開く必要があったが、次第に顔見知りの関係ができ、子どもの中に自然に入っていく高齢者も増えてきた」と澤理事長は言う。

 高齢の利用者は、ほとんどが要支援や要介護1、2といった軽度の人だち。利用前は家に閉じこもりがちだったが、通所によって体調が回復した人も少なくない。昨年九月から週三回、利用している成本勇さん(82)は、常連の田村怜偉ちゃん(4つ)と仲良しで、トランプを一緒にするのが楽しみという。「ここに来る子どもは人懐こいし、大人の言うこともよく聞くことができる。子どもから元気をもらっているためか、体調もいいです」と笑顔を見せる。

 怜偉ちゃんの母親・美緒さん(30)はスタート当初からの利用者。同年代の母親と知り合う機会が少ないため、出会いの場を求めていた。「ここはいろんな世代の人とかかわることができ、母子ともに無くてはならない場になっている」。八月初めに開かれた「流しそうめん」では、そうめんを流す竹を実家から持ち込むなど、イベントの運営にもかかわる。

 「元気交流クラブ」のメンバーには赤磐市内の合唱グループを指導している人もいる。こうしたグループにデイサービス利用者が加わり、地域の音楽祭にも出演。子どもの合唱グループもできるなど、たけのこの家は福祉サービスの場だけでなく、地域活性化の拠点にもなりつつある。

 世代を超えた交流によるメリットの一方で、ゆったりと過ごしたい高齢者には、遊びがエスカレートし、にぎやかになり過ぎる子どもの存在が迷惑になる場合もある。このため今年六月には子ども部屋を増築し、音を遮断できるようにした。

 澤理事長は「身近な場で幅広い世代の人間に囲まれて過ごすことは、高齢者の生きがいづくりと子どもの成長の両方に欠かせない。住民の理解を得ながら、地域に根付いたケアの形を探っていきたい」と話す。
※登場する人物・団体は掲載時の情報です。

(2005年08月22日 更新)

タグ: 健康女性介護高齢者福祉子供医療・話題

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