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岩盤浴の遠赤外線 糖尿病症状緩和に効果 上者岡山大大学院教授ら調査

上者郁夫教授

 岡山大大学院保健学研究科の上者(じょうじゃ)郁夫教授(放射線技術科学分野)の研究グループは、岩盤浴で受ける遠赤外線によって身体が温まると、糖尿病の症状が改善するとの調査結果をまとめた。上者教授は「新陳代謝や血流が活発化し免疫力が高まった結果。花粉症などアレルギー疾患にも効果があるのでは」としている。 

 調査は2007年4月から1年間、2型糖尿病患者7人に週2回の岩盤浴を実施。月に1回の血液検査で空腹時血糖値(正常値110ミリグラム/デシリットル以下)などのデータを比較した。

 通常時の血糖値レベルを示すHbA1c値(同5・8%以下)は正常値内だった1人を除く6人に大きな改善がみられ、最も効果があった患者は8・5%から1・2ポイント減少。空腹時血糖値も160ミリグラム/デシリットルから正常値内になるなど全員に良好な結果が得られた。血糖値を下げるホルモン・インスリンの効きにくさを示すインスリン抵抗性指数や中性脂肪、総コレステロールなど、生活習慣病に関する数値も改善したという。

 6人にその後1年間自由に生活してもらい、同じ検査を実施。「多くの患者は定期的に岩盤浴を続けなかったため、数値は元に戻るか、悪化した」(上者教授)という。

 上者教授は07年、自身の岩盤浴体験で花粉症の症状緩和を感じたことから研究に着手。温熱効果で活発化する特殊なタンパク質(HSP)に着目、共同研究先の施設などで調査していた。
※登場する人物・団体は掲載時の情報です。

(2009年07月15日 更新)

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