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心臓外科医の手術技術大会決勝へ 岡山医療センターの宮本医師

決勝に備えて手術のトレーニングに励む宮本医師

宮本陽介医師

 国立病院機構岡山医療センター(岡山市北区田益)の宮本陽介医師(33)が、全国の若手心臓外科医が手術技術を競う「チャレンジャーズ・ライブ・デモンストレーションズ」の決勝(17日・熊本市)に出場する。患者数の多さや充実した教育態勢から腕を磨きやすいといわれる首都圏や大学関係の医療機関以外では唯一のファイナリスト。「地方の総合病院でも、しっかりトレーニングを積めば良い手術ができる」との自負を胸に、優勝に照準を定めている。

 大会は関係学会の教育プログラムとして行われ、若手心臓外科医の登竜門とされる。2009年以降の大学医学部や医科大の卒業者が対象。ブタの心臓で冠動脈バイパス手術を行い、縫う、結ぶなどの基本技術をベテラン医師らが審査する。

 9月の予選には62人が出場し、心臓血管外科医の宮本さんら8人が決勝に進んだ。他は国立循環器病研究センターや筑波大付属病院などの医師で、川崎医科大総合医療センター(岡山市)の渡辺達也医師も含まれる。

 宮本さんは心臓に穴が開いている先天性疾患のため、2歳で手術を受けた経験が今の仕事につながった。三重県出身で、岡山大を卒業後、福山市民病院や高知市の民間病院などを経て17年4月に岡山医療センターに赴任。現在は専門技術や知識を学ぶ「後期研修医」の立場だが、これまでの手術経験は助手を含めると約1500例を数える。

 医療技術が高度化し、若手医師が任される手術の難易度も高まっているという中で、一流とされる医師の手術動画を何度も視聴するなどし、日頃からノウハウを頭にたたき込んでいる。わずかな空き時間を使って手術シミュレーターでの練習も繰り返している。

 3度目の挑戦で初の決勝に臨む宮本さんは「優勝を持ち帰り、その技術で地元の患者さんに貢献したい。岡山で心臓外科医として働きたい人の増加にもつながれば」と話している。

 心臓の冠動脈バイパス手術 心臓の冠動脈が狭くなる「狭窄(きょうさく)」が起きた際、血液の流れが滞らないように体の別の場所から採取した血管を移植して迂回(うかい)路をつくる手術。心臓を動かしたまま行う「オフポンプ」と呼ばれる術式が主流で、天皇陛下が2012年2月に受けられたことで有名になった。
※登場する人物・団体は掲載時の情報です。

(2018年11月13日 更新)

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