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断酒活動で北殿さん厚労大臣表彰 夫に続き受賞「命の限り続ける」

厚生労働大臣表彰を受けた北殿良子さん(右)。2015年度に受賞した夫の哲詳さんとともに、当事者や家族を支えてきた

 アルコール依存症の当事者と家族でつくる断酒組織「NPO法人おかやま たけのこ会」の初代家族会代表を務めた北殿良子さん(79)=浅口市=が、精神保健福祉事業に貢献した個人・団体に贈られる2018年度の「厚生労働大臣表彰」を受賞した。夫で同会名誉理事長の哲詳(のりよし)さん(79)も15年度に表彰を受けており、夫婦での受賞は岡山県内で初めて。2人は「依存症の人が早く抜け出せるよう、命の続く限り活動を続けていく」と気持ちを新たにしている。

 「たけのこ会」(会員約160人)は1999年2月、旧県立病院(現・県精神科医療センター、岡山市北区鹿田本町)に入院、通院する患者で結成。患者だった夫の哲詳さんが初代理事長、良子さんが家族会代表を務め、断酒会のほか、家族会を継続的に開いてきた。

 アルコール依存症は、患者や家族が悩みを打ち明け、支え合う会合に休むことなく出席すれば、断酒の可能性が高まるとされる。ただ、生活に支障が出ても飲み続ける人がいるなど、患者や家族が途中で参加をやめるケースも多いという。

 良子さんは14年3月までの15年間代表を務め、哲詳さんを支えた経験を生かし、会合や電話で家族の悩みに耳を傾けてきた。「夫は本当に飲酒をやめられるのか」「暴力に疲れた。離婚したい」といった深刻な声に対し「飲酒による家庭崩壊を招かないようにとの思いで、必死に参加を呼び掛けてきた」と振り返る。

 哲詳さんは「家族の支えは本当に大切。家族会一筋の活動が評価されたのだと思う」と言う。

 県健康推進課などによると、県内のアルコール依存症患者は16年10月の推計で約1万6千人で、近年は女性や若者の割合も増えているという。2人は「来年20周年を迎えるたけのこ会をこれからも夫婦で支えていきたい」と話している。
※登場する人物・団体は掲載時の情報です。

(2018年12月01日 更新)

タグ: 医療・話題

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