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(6)ストレッチに一工夫 岡山ろうさい病院中央リハビリテーション部部長 中村勝

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中村勝部長

 さまざまな職業があり、働く方の環境もさまざまです。勤労者の皆さんは常に健康に留意されていると思いますが、思いがけず、けがを負われることもあるかもしれません。「働き盛りの人への健康講座」の一環として、けがなどの予防に視点を置いてお話ししたいと思います。

 さまざまな環境での就労は、皆さんの体に少なからず負担を与えているかもしれません。例えばデスクワークの多い方は肩こりや腰痛、立位での作業が多い方は腰痛や膝痛などに悩まれているかもしれません。「つらいけど、何とか仕事ができるからこのままでいいか」と思っている方も多いのではないでしょうか。

 体調不良は作業効率の低下やけがの原因になるかもしれません。少しでも体調をよくするため、忙しい勤労者の皆さんへお勧めしたいのがストレッチです。

 ■ストレッチの効果

 ストレッチを行うことにより、筋肉の緊張をほぐし、けがを予防する▽血行を改善して疲労が回復する▽リラックス効果で心のリフレッシュを図る―といった効果が期待できます。

 他にもいろいろな効果があると思いますが、必ずしもスポーツの前後に行うだけではありません。仕事の前後や合間にストレッチを行うことで、働く皆さんにもこれらの効果が期待できます。

 ■ストレッチの方法

 <下肢の後ろの筋肉のストレッチ>

 ▼同じ高さの椅子に片足を乗せ、体を少し前に曲げます(写真1

 ▼ソファに横向きに足を伸ばして座り、片足を下ろし、体を少し曲げます(写真2

 <アキレス腱(けん)のストレッチ>

 ▼壁に両手をつき、片足を後ろに下げ、腕を曲げながら壁に近づいていきます(写真3

 <肩甲骨周りのストレッチ>

 ▼肘をつかみ、つかんだ手の方へ動かします。頭はつかまれている方を向きます。体の軸がぶれにくくなります。さらに肩を上下させた位置でも同じ動きを行います(写真4

 <背筋のストレッチ>

 ▼椅子に座った状態で背骨を中心に体を回します。肘当てや背もたれを利用してもかまいません(写真5)。次に体を回した状態のまま少しずつ曲げていきます。さらに曲げる方向を少しずつ変えていきます(写真6

 ■ストレッチの注意点

 優しくゆっくりと、筋肉の状態を感じながら伸ばしていきます。強く激しく伸ばすと筋を痛める場合があります。伸ばされている部位を感じてみます。体の声を聴いてください。

 5~10秒ほどストレッチを行い、いったん戻してから再度行います。この時も体の声を聴いてみましょう。前より伸びていないか、ツッパリ感が変わっていないか、体の声を聴くことに集中してください。戻した際には、ゆっくり呼吸しましょう。

 ■動きを加える

 単にストレッチするだけでなく、少し他の動きを加えてみましょう。伸ばしながら曲げたり、回しながら曲げたりすると、伸ばされる場所が変化する様子がわかると思います。体の声を聴いてみましょう。曜日や時間帯によっても、声は違ってくるかもしれません。

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 岡山ろうさい病院(086―262―0131)

 なかむら・まさる 国立療養所東京病院附属リハビリテーション学院理学療法学科卒。関西労災病院、山口労災病院、横浜労災病院、中国労災病院を経て岡山労災病院に勤務。
※登場する人物・団体は掲載時の情報です。

(2018年12月03日 更新)

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