岡山県医師会が受動喫煙防止に力 啓発展開、21日に推進協発足

健康増進法改正を受けて県医師会などが初めて企画したシンポジウム=1月26日

受動喫煙防止を啓発するため県医師会が作った名刺とリストバンド

 岡山県医師会が受動喫煙防止の機運盛り上げに力を入れている。2020年東京五輪・パラリンピックに向けて対策を強化する健康増進法改正を“追い風”に、シンポジウムの開催やグッズの作製による啓発活動を展開。今月下旬には会内に推進協議会を立ち上げ、県などに対して、独自条例の制定を含めた実効性ある対応を働き掛ける構えだ。

 「受動喫煙に安全なレベルというものはない。完全に防がなければならない」。1月26日、法改正を受けて県医師会などが初めて企画した岡山市での公開シンポジウム。専門家らが壇上に立ち、受動喫煙の健康リスクや規制強化の必要性を次々に訴えた。

 グッズを活用した啓発にも取り組む。役員の名刺の裏にたばこを吸う人と死に神の図柄を入れたり、「おかやまの空気はきれい」と記したリストバンドを作ったりして関係者らに配布している。

 改正法は、国際オリンピック委員会が目指す「たばこのない五輪」の実現に向け、昨年7月に成立した。多数の人が利用する施設内を原則禁煙とする一方、既存の小規模飲食店は例外扱いとなっており、東京都や山形県などは条例で独自に規制を強化。こうした状況を踏まえ、岡山県医師会は取り組みを本格化させた。

 当面の目標として県独自条例の制定を掲げる。今月21日には会内に「禁煙推進協議会」を発足させ、医療や経済団体などに賛同を呼び掛け、県への働き掛けを加速させる方針。5月には岡山市内で2千人規模の決起大会も計画している。

 こうした動きに対して、県は「受動喫煙防止対策を県民運動として展開する必要がある」(健康推進課)との認識で、具体策については今後、有識者や医療関係者らと話し合うとしている。

 県医師会の清水信義副会長は「改正法の規制だけでは子どもたちがたばこの煙にさらされる懸念は拭えない。訪日外国人に配慮して観光地などでの独自の対策も必要だ」と訴えている。

 ◇

 健康増進法 健康づくりや生活習慣病の予防に向けて国や自治体などが取り組むべき内容を定めた法律で、2003年に施行。努力義務だった受動喫煙防止について、昨年7月の改正で施設管理者に対する罰則付き規制を盛り込んだ。今年7月から学校や病院といった施設が屋内全面禁煙、20年4月からは飲食店なども原則禁煙となる。ただ、資本金5000万円以下で客席面積100平方メートル以下の既存店は例外とされ、飲食店の55%で喫煙が認められるとの試算もある。

(2019年02月14日 更新)

※登場する人物・団体は掲載時の情報です。

タグ

カテゴリー

PAGE TOP