AIで早期胃がんの進行度を診断 岡山大大学院・河原教授ら開発

河原祥朗教授

 岡山大大学院の河原祥朗教授(実践地域内視鏡学)らの研究グループは、人工知能(AI)を活用して早期胃がんの進行度を診断できるシステムを開発した。病変部の画像から内視鏡治療か外科手術のいずれが適しているかを一定の精度で見極められるのが特長。胃がん発症の有無を診断できるAIは存在するが、治療方針の選択に役立てられるのは全国初という。東京で31日に開かれる日本消化器内視鏡学会で発表する。

 早期胃がんの治療法は、胃壁のごく浅い層に腫瘍がとどまっている場合は内視鏡を使い、それよりも深い場合は外科手術で切除するのが一般的。グループによると、治療方針の判断は、医師が内視鏡で撮影した胃の画像を見ながら経験や直感を頼りに行う部分が大きく、患者の状態に適した治療が選択されないケースも珍しくないという。

 自身も内視鏡治療に携わる河原教授はこうした現状を踏まえ、AIを活用して医師の診断能力に左右されない手法を検討。岡山大病院(岡山市北区鹿田町)を受診した早期胃がんの患者200人の術前画像約5600枚をAIに覚え込ませるなどして学習させたところ、76・5%の精度で正確な進行度を診断できたという。

 このAIによる診断システムは、同大大学院の相田敏明講師(確率的情報処理)に開発を依頼し、現在は両備システムズ(同市南区豊成)とも連携して改良を重ねている。

 河原教授は「早期胃がんの正確な診断は患者にとって必要のない治療をなくすことにつながり、医療経済的にもメリットがある。診断精度を90%以上へと高め、医師による診断を支援するツールとして2年後の実用化を目指したい」と話している。

(2019年05月25日 更新)

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