息切れ対処 効果実感は患者の2割 岡山大大学院 森本教授が全国調査

森本美智子教授

 長年の喫煙などでかかる「慢性閉塞性肺疾患」や間質性肺炎といった慢性呼吸器疾患を患う人が、息切れを和らげるマネジメント法で症状が改善したと感じるケースは、最大で2割程度にとどまることが、岡山大大学院の森本美智子教授(成人看護学)らの全国調査で分かった。医療者が提供する支援策と患者のニーズに“ミスマッチ”が生じている可能性があるという。

 調査は、慢性呼吸器疾患を専門とする看護師や研究者らでつくる「呼吸器看護研究検討会」が実施。2015年8月~16年8月、全国26病院を受診した同疾患の外来患者835人にアンケートし、93~40歳の565人から有効回答を得た。

 実際に行っている息切れのマネジメント法(24項目)を複数回答で尋ねたところ、「自分のペースで動く」(93・5%)がトップだったが、緩和に役立つとしたのは18・9%。2番目に多かった「動作をゆっくり行う」(79・6%)に緩和効果を感じたのも19・1%にとどまった。

 最も役立つと感じたのは「つえや手押し車などの補助具を使う」(21・1%)だったが、全マネジメント法のうち最も実践している人が少なかった。2位は「(在宅酸素療法の)酸素量を調節する」(19・9%)だった。

 森本教授は「息切れの対処法は患者個々で異なる。医療者が患者とのコミュニケーションを密によりきめ細かく指導や助言をすれば、症状の緩和につながる可能性がある」と分析している。

 慢性閉塞性肺疾患 肺の機能が低下し、呼吸困難を招く病気。喫煙習慣との関連が深く、「たばこ病」とも呼ばれる。主な症状として、階段の上り下りなどで息切れを感じたり、風邪を引いていないのにせきやたんが続いたりする。重症化すると酸素吸入などが必要となる。厚生労働省の国内統計によると、2017年の死者数は1万8523人で、1995年以降で最も多い。

(2019年06月03日 更新)

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