医学生表現力養成でデッサン学ぶ 岡山大が教室

岡山大の医学生にデッサンの基礎を教える大塚さん(中央)

 岡山大が、医学部医学科の学生にデッサン教室を行っている。観察力や表現力を磨くことで、絵を交えて手術法を患者に説明したり、記録したりする際に役立てる狙いで、全国でも珍しい取り組みという。2017年1月から今年5月までに約300人が受講しており、新たな医学教育として学内で定着しつつある。

 教室は、医学科の全学生が4年時または5年時に経験する形成外科の臨床実習の中で、1人1回受ける。デザイン会社役員大塚益美さん(72)=岡山市北区=から鉛筆を使った基本的な描写技法を教わり、陰影を付けて果物や自分の顔を描く。

 「デッサンによって患者に必要な情報を分かりやすく伝えられるよう、観察眼を養ってほしい」と大塚さん。もとは形成外科の医師向けだったが、好評で学生の教育に取り入れたという。

 医学と関連した名画の鑑賞や、学生たちが選んだ絵画・彫刻の制作意図などを討論する時間もある。木股敬裕教授(形成外科)は「作品とじっくり向き合うことで患者の内面をくみ取り、共感する力が培われることを期待している」と狙いを語る。

 18年中に授業を受けた122人へのアンケートでは、デッサン教室の満足度と医学教育での必要性について97%が「満足」「必要」と回答するなど好評で、4月から授業時間を従来の2時間から3時間へ増やした。

 4月下旬に受講した男性(23)は「絵を描くのは苦手だったが、分かりやすく教えてもらい、楽しいと感じた。手術記録にも活用できると思う」と話している。

(2019年06月05日 更新)

※登場する人物・団体は掲載時の情報です。

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