若年がん患者会が県内に誕生 30日に岡山で初の茶話会

30代で乳がんを経験しAYA世代の患者会を立ち上げたボーマン三枝さん

 10代後半から30代の「AYA(アヤ)世代」でがんを発病した患者の会が岡山県内に誕生した。闘病に伴い、就職、結婚、出産など人生の節目で経験した困難を共有し、自分らしく生きる知恵を学び合う場を目指す。30日に岡山市で開く初の茶話会の参加者を募っている。

 AYA世代は小児や中年以降のがんと比べ、治療法の研究や心理面のケアが十分進んでいないとされる。

 県内ではAYA世代が集まる機会も少なく、乳がん経験者の女性2人と支援者の女性看護師が連絡を取り、5月下旬に「AYA Can(キャン)!!」と名付けた患者会を立ち上げた。

 代表を務めるボーマン三枝さん(37)=早島町=は英国人男性と結婚して3カ月目の31歳で乳がんになった。抗がん剤やホルモン剤の治療はしばしば生殖機能に影響を及ぼす。「もう子どもを持てないかも」とショックを受けた。

 悩んだ末、切除手術後のホルモン治療は回避し、2人の娘を産むことができた。同じような不安や葛藤を抱える仲間のために経験を役立てたいと、会の設立を呼び掛けた。

 発起人に加わった女性(43)=玉野市=は32歳の時に乳がんが見つかり、今も治療中。他の患者会に参加しても、年長の患者がほとんどで気持ちを理解してもらえず、ずっと同年代の患者会を探していたという。

 乳がん以外でもAYA世代の困難は共通しており、「AYA Can!!」はがんの部位にかかわらず参加を募る。今後、交流会やフィットネス講座などを開くとともに、患者が体験を語る機会も設けたいとしている。

 乳房を切除した患者のため、見た目を補う下着の開発を手掛けるボーマンさんは「人数の少ないAYA世代同士はなかなか出会わない。仲間とつながることで、前向きにがんを受け入れることができる会にしたい」と話している。

 茶話会は30日午後1時~3時、ビジネスインキュベーター岡山(岡山市北区西古松)で開く。無料。

 AYA世代 AYAは思春期と若年成人を指す英語の頭文字。国立がん研究センターの推計では、1年間に15~19歳約900人、20代約4200人、30代約1万6300人ががんと診断される。静岡県立静岡がんセンター、大阪市立総合医療センターはAYA世代専用の病棟を開設している。

(2019年06月14日 更新)

※登場する人物・団体は掲載時の情報です。

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