前兆ある片頭痛、国内初の治験 岡山大病院が心臓穴ふさぎ検証

赤木禎治准教授

 岡山大病院循環器内科の赤木禎治准教授らは、ギザギザの光が見えるなど前兆のある片頭痛の治療を目的とした国内初の治験を8月から始める。心臓の左右の心房に開いている微小な穴(卵円孔=らんえんこう)がある人はこうした頭痛が起きやすいとされている。特殊な医療器具で卵円孔をふさいで有効性を検証し、公的医療保険の適用が可能かどうかを調べる。

 卵円孔は、胎児期に胎盤から取り込んだ血液を全身に送るため開いた穴で、生後自然に閉じるが、5人に1人の割合で残るとされる。卵円孔がある人は、ない人に比べて前兆のある片頭痛が3・2倍の確率で起きるとの研究報告がある。

 赤木准教授らは「卵円孔を通過する物質が片頭痛を引き起こしている可能性がある」と考え、2015~18年、片頭痛の患者27人に卵円孔をふさぐ治療を実施。前兆のある片頭痛患者の半数以上で症状が消えたが、130万円かかる治療費が現状では全額、患者の自己負担となるため、保険適用に向けた治験を行うことにした。

 治験は、予防薬を服用するなど治療しているにもかかわらず、効果が見られない16歳以上60歳未満の人が対象。岡山大病院を含む国内4病院で計128人を募る。カテーテルの先端に付けた二つの閉鎖栓で卵円孔を両側から挟んで閉じる。この治療をするグループとしないグループに分けて6~9カ月の間に起きた片頭痛の回数を調べ、効果が証明できれば、公的医療保険の適用を国に申請する。

 米国などでは前兆の有無にかかわらず片頭痛患者を対象とした同様の治験が行われたが、有効性を科学的に証明するに至っていない。赤木准教授は「激しい頭痛に苦しみ、仕事を辞めざるを得ない人もいる。今回の治験は対象を絞っており、新たな治療法につながれば」と話している。

(2019年07月30日 更新)

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