認知症診療スキル指南 小川紀雄名誉院長が出版 おかやま内科糖尿病・健康長寿クリニック

小川紀雄名誉院長

 おかやま内科糖尿病・健康長寿クリニック(岡山市中区中納言町)の小川紀雄名誉院長が「かかりつけ医のための“認知症”診療スキル」(へるす出版)を出版した。認知症患者が500万人を超えたとされる現在、かかりつけ医誰もが知っておくべき認知症についての知識や診療のスキルを指南し、介護施設の職員や患者家族にとっても役立つ一冊になっている。

 小川名誉院長は元岡山大学大学院医歯学総合研究科教授で、パーキンソン病や認知症を専門とする。本書では、アルツハイマー型▽レビー小体型▽前頭側頭型▽血管性―の四つの認知症のタイプに沿って、それぞれ症状や特徴を説明した。

 実際の診療場面を想定し、診断手順を分かりやすく解説した。問診票で家族から情報収集し、患者の認知機能を検査するテストを行うとともに、身体機能の診察も重視している。

 介護する際の心得として、人格を尊重し、「叱らない」ことや「指導しすぎない」ことを求める。患者の認知機能が低下しても「情」は維持され、叱られた時の恐怖や嫌な感情は叱った人の顔とともに心に残る―と強調している。

 病状が進み、指示が伝わりにくくなった場合でも、「短文の提示」が有効な場合があるとアドバイスする。例えば「目を閉じてください」と声を掛けても通じない時、紙に文字を書いて示せば伝わった例が少なくなかったという。

 薬物療法については、それぞれの薬剤の特徴や用量、注意すべき副作用などを記し、薬を中止する時期についてもさまざまな考え方があることを紹介した。

 小川名誉院長は「認知症患者は糖尿病や高血圧症などさまざまな合併症を持つことが多く、総合的な治療と管理が欠かせない。本書で認知症を学び、かかりつけ医と家族らが手を取り合い、患者を支えてほしい」と話している。

 B5判、106ページ、2400円(税別)。

(2019年09月16日 更新)

※登場する人物・団体は掲載時の情報です。

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