(2)眼科の紹介 岡山ろうさい病院 眼科部長 伊丹雅子

 一般外来は月曜日から金曜日の午前中に、2診体制で診療しています。月・水・金曜日の午後は予約制で、検査やレーザー治療を行っています。火・木曜日の午後は手術日で、主に白内障手術、抗VEGF薬硝子体(しょうしたい)注射を行っています。

 当科は、総合病院の眼科として、他科や近隣の医療機関の先生方と緊密な連携を行いながら、眼科全般を幅広く診療しています。その中でも多い病気は、他の医療機関と同様、白内障、開放隅角(ぐうかく)緑内障、糖尿病網膜症です。

■白内障

 白内障==は、主に加齢が原因で、40歳代から徐々に水晶体混濁が進行する疾患です。基本的に日常生活に支障をきたす症状(まぶしい・かすむ・見えにくいなど)を訴えられた時点で手術をお勧めしています。

 入院期間は、患者さんのご希望と全身状態に応じて、「入院」と「日帰り」のいずれにも対応しています。手術は点眼麻酔で20分程度ですが、認知症などで手術中に静止が難しい患者さんは、全身麻酔での手術も行っています。術後視力低下の原因となる後発白内障に対しては、YAGレーザー治療を行っています。

 なお、現在自費診療である多焦点眼内レンズは当院では取り扱っておりません。

■開放隅角緑内障

 開放隅角緑内障は、眼球の形を保つための眼球内圧(眼圧)が視神経を圧迫し、徐々に視野が狭くなってゆく進行性の病気です。中心視野が障害されると視力も低下します。40歳以降の20人に1人に発症するといわれていますが、初期には自覚症状がないため、発見が遅れることも多い病気です。

 このため、特に40歳以降の方は年1回の眼科定期検査をお勧めします。検査は外来通院で可能です。主に、眼圧測定、光干渉断層計(OCT)、眼底検査、視野検査(ハンフリー視野計、ゴールドマン視野計)で緑内障を診断しています。

 治療は、眼圧下降・神経保護作用のある点眼薬の継続です。ほとんどの緑内障は、一つまたは数種類の点眼薬を組み合わせることで進行を予防できます。

■糖尿病網膜症

 糖尿病網膜症は初期には自覚症状がほとんどなく、視力低下を自覚した時には、かなり病期が進行し、視力回復が難しいこともあります。そのため、糖尿病内科と連携し、網膜症の予防・早期発見・治療に努めています。

 当科では、眼底撮影に超広角眼底カメラを使用しているため、小瞳孔でも撮影可能です。また、撮影時間が短く、まぶしさが少ないため、患者さんの負担も軽い検査です。

 治療は、病期に応じてマルチカラーレーザー装置で網膜光凝固術を行っています。また、物を見る中心部(黄斑)が腫れて、視力低下を来す糖尿病黄斑浮腫に対しては、抗VEGF薬硝子体注射を行っています。糖尿病以外に、網膜静脈閉塞症による黄斑浮腫、滲出(しんしゅつ)加齢黄斑変性に対しても、抗VEGF薬硝子体注射を行っています。

 当科では、その他のさまざまな目の病気も診療しています。目の不調を感じたらお早めに、不調がなくても年1回は眼科診察を受けられることをお勧めします。

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 岡山ろうさい病院(086―262―0131)

 いたみ・まさこ 山口大学医学部卒。岡山大学眼科に入局し、岡山市民病院を経て2019年4月から岡山ろうさい病院眼科に勤務。日本眼科学会専門医、医学博士。

(2019年10月21日 更新)

※登場する人物・団体は掲載時の情報です。

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