13 緊急時の対応 「落ち着いて」呼吸確認

 最近火事がよく起きています。もし自分の家で起きたり、近所の現場に駆けつけたとき、子どもが巻き込まれたら大変です。一般に火事や事故などで意識を失い、呼吸が止まってしまったときは人工呼吸を行いますが、万が一の際、うまくできるか不安な方がほとんどだと思います。救急時の正しい対処方法を紹介します。

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 火災や事故など緊急事態に出くわした時の対応で最も重要なことは「慌てない」「落ち着いて」です。救助に参加することで、自身が危険に陥ることは絶対に避けなければなりません。

 次に子どもを救い出した状態で行うことですが、例えば火事の場合、大きく分けて二つの障害が起こります。一つはやけどです。この処置の基本は水で患部を冷やすことです。詳細は昨年十二月十七日付の本コーナーを見てください。もう一つは、煙に巻かれて意識を失うことです。今回はその対処法について、お話しします。

 ①状態の確認

 まず、呼吸をしているかどうかの確認です。分かりにくい時は平らな所に寝かせて確認してください。おかしいときは二本の指であごを下から押し上げるようにして、もう一方の手を額に当て頭部を十分に後屈させてください。これで気道が開放されます。

 その状態で呼吸をしているか、心臓は動いているか観察します。呼吸は十秒間様子を見て呼吸がなければ人工呼吸を始めます。心停止確認は左胸に耳を当てるか、首または手首の内側に手を当てて脈を確認してください。呼吸していたり、泣いている子どもで心臓が止まっていることはありません。呼吸が止まっている場合は多くは心臓が止まっていると判断したほうが良いと思います。

 ②援助を求める

 このような状態ではできるだけ早期の 蘇生 ( そせい ) を必要とします。必ず大声で助けを求めてください。周囲に誰か蘇生術に優れている人がいる可能性があるからです。

 ③蘇生法

 蘇生方法はまず、空気を吹き込みます。小さい子どもの場合口でも鼻からでも構いません。とにかく口を付けて空気を吹き込んでください。もし大きい子どもなら鼻をつまみ口から空気を吹き込んでください。一分一秒でも早く空気を入れることが重要です。

 口の中に物が入っていれば取り除いた方が良いのですが、緊急事にそのようなことを言ってはいられません。できるだけ早く空気を送り込み、脳障害を軽くすることが大切です。たとえ異物を肺に押し込んだとしても、命が助かれば対処の方法があります。まず一息吹き込むことが重要と認識してください。

 肺に空気が入っているかどうかの目安は、胸が持ち上がるかどうかで判断できます。空気を吹き込んだ時、胸が持ち上がっていれば十分に入っていると考えて良いと思います。子どもが泣き出せばもう大丈夫です。

 ④心臓マッサージ

 数回、息を吹き込んだ後に心臓が動いているか確認します。これは左胸に耳を当てるか、脈で確認します。もし心臓が動いていなければ、左胸の上に手のひらを当て、強く押してください。ソフトテニスのボールが半分にへこむ程度の強さが必要です。振り子時計の速さ(一分間に六十~八十回)で心臓を圧迫します。呼吸が回復するまで(救急車が来るまで)この操作を続けます。人工呼吸と心臓マッサージは、基本的に心臓マッサージで五、六回押したら一回空気を吹き込みます。

 ⑤救急車を呼ぶ

 呼吸が停止していると判断した時点でできるだけ早く救急車を手配してください。煙を多量に吸った場合は必ず一度は病院で診察を受けてください。煙で肺が損傷を受けている可能性があるからです。

 (青山興司・岡山医療センター院長)

(2006年01月13日 更新)

※登場する人物・団体は掲載時の情報です。

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