朝日米でくしゃみなど緩和 岡山県立大教授らマウス実験

伊東秀之教授(左)と杉本幸雄准教授

 岡山県立大の伊東秀之教授(食品化学)、岡山大大学院の杉本幸雄准教授(薬理学)らのグループは9日、岡山県産米の代表銘柄「朝日」に、アレルギー症状の原因物質ができるのを抑える効果があるとする研究成果を発表した。マウスによる実験でくしゃみなどが緩和されたという。

 アレルギー反応は、花粉や特定の食べ物などを異物と認識すると、体内で特異的IgE抗体を作り、体を守る肥満細胞から炎症を起こす物質が放出され、くしゃみや鼻水といった症状が現れる。抗体量が増えれば症状が悪化する。

 実験では、アレルギー性鼻炎を生じた状態のマウスを使い、精米した朝日、コシヒカリ、きぬむすめを餌にそれぞれ1割混ぜて2週間与えた。朝日は通常の餌のみを食べたグループに比べて血中の抗体量が4割ほど少なく、くしゃみの回数も減った。

 コシヒカリは、くしゃみは減ったが、抗体量が1割ほどしか下がらなかった。きぬむすめは、抗体量を朝日と同程度に抑えられたものの、くしゃみを減らす効果が弱かった。ただ、米のどの成分が作用したかは解明できておらず、今後の研究が必要という。

 伊東教授らはJA全農おかやま(岡山市)、岡山県とともに2016年から研究。今回の成果は、神戸市で今月初めに開かれた食品の機能性研究に関する学会で報告した。杉本准教授は「米ぬかの抗アレルギー性に関する論文はあるが、白米で調べた研究はほとんどない」としている。

 朝日は岡山県の奨励品種の一つで、粘りが少なく歯応えのあるのが特徴。

(2019年12月10日 更新)

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