(4)栄養サポートチーム 倉敷中央病院栄養治療部室長 高瀬綾子
栄養はすべての患者さんに必要な、基本的かつ重要な治療の一つです。
入院患者さんの中には、入院した時からすでに栄養状態が悪い方や、入院して手術や治療をする過程で必要な栄養量がきちんと確保できず、栄養状態が低下していく方がいます。
このような低栄養の患者さんに適切な栄養管理が行えないことは、病気の治癒・回復を遅らせ、入院期間を長引かせる原因にもなります。一方で、入院時に栄養状態を的確に判断し、低栄養が疑われる患者さんに早い段階から栄養管理を行うことは、治療の効果を高め、感染症などの合併症を防ぐのに有効であることが明らかになっています。
当院では2006年に栄養サポートチーム(NST=Nutrition Support Team)を立ち上げ、現在は主に以下のような活動を行っています。
■各診療科での活動
毎週それぞれの病棟で低栄養の、もしくはそのリスクのある患者さんを対象に、栄養に関する専門知識を持った多職種(医師・看護師・管理栄養士・薬剤師・リハビリ療法士など)が協議します。患者さん一人ひとりの病状や、食べる機能、嚥下(えんげ)(飲みこみ)の状態に合わせた適切な栄養治療を選択・実施できるよう、それぞれの専門性を生かした提案や助言をしています。また、食事の調整だけでなく、経管栄養や点滴内容の相談も多くあります。
栄養サポートチームのみでは解決できない場合は、他のボーダレス医療チーム(嚥下サポートチームや褥瘡(じょくそう)対策サポートチームなど)に相談しながら各方面から栄養改善を目指します。
■病院全体の活動
栄養サポートチームの医師・看護師・管理栄養士・薬剤師・リハビリ療法士・臨床検査技師・歯科衛生士の中心メンバーは以下の活動をしています。
(1)全職員向けの勉強会の企画と実施
毎月さまざまな職種のスタッフが講師となり、栄養に関する知識や栄養管理の大切さを全職員に教育しています。
(2)経管栄養の患者さんに対する取り組み
消化器手術の後や集中治療室での管理が必要な患者さん、脳血管疾患(脳卒中など)で入院された患者さんなどは、一時的に口から栄養がとれず、チューブを挿入して栄養を確保する経管栄養が必要な場合があります。安全に栄養剤が投与できるよう、管理栄養士は投与が適切なスピードか、量は適正かなどを確認しています。
(3)新しく設ける食事の検討や新たに採用する栄養剤・栄養補助食品の選定
病院食の更新や栄養補助食品の採用を検討する際は、中心メンバーで味見や形態(固さや飲みこみやすさ、とろみの状態など)の確認をしたうえで採用するかどうかを決めます。
最後に、栄養は生命活動の源であると同時に、食事は楽しみや癒やしにもなります。栄養サポートチームは患者さんが退院後、食事をおいしく、楽しく食べられるように入院中から支援できたらと思いながら、活動しています。
◇
倉敷中央病院(086―422―0210)
たかせ・あやこ 玉島高校、中国短期大学食物栄養専攻卒。現在は倉敷中央病院栄養治療部室長。病態栄養専門管理栄養士、がん病態栄養専門管理栄養士、静脈経腸栄養(TNT―D)管理栄養士。
入院患者さんの中には、入院した時からすでに栄養状態が悪い方や、入院して手術や治療をする過程で必要な栄養量がきちんと確保できず、栄養状態が低下していく方がいます。
このような低栄養の患者さんに適切な栄養管理が行えないことは、病気の治癒・回復を遅らせ、入院期間を長引かせる原因にもなります。一方で、入院時に栄養状態を的確に判断し、低栄養が疑われる患者さんに早い段階から栄養管理を行うことは、治療の効果を高め、感染症などの合併症を防ぐのに有効であることが明らかになっています。
当院では2006年に栄養サポートチーム(NST=Nutrition Support Team)を立ち上げ、現在は主に以下のような活動を行っています。
■各診療科での活動
毎週それぞれの病棟で低栄養の、もしくはそのリスクのある患者さんを対象に、栄養に関する専門知識を持った多職種(医師・看護師・管理栄養士・薬剤師・リハビリ療法士など)が協議します。患者さん一人ひとりの病状や、食べる機能、嚥下(えんげ)(飲みこみ)の状態に合わせた適切な栄養治療を選択・実施できるよう、それぞれの専門性を生かした提案や助言をしています。また、食事の調整だけでなく、経管栄養や点滴内容の相談も多くあります。
栄養サポートチームのみでは解決できない場合は、他のボーダレス医療チーム(嚥下サポートチームや褥瘡(じょくそう)対策サポートチームなど)に相談しながら各方面から栄養改善を目指します。
■病院全体の活動
栄養サポートチームの医師・看護師・管理栄養士・薬剤師・リハビリ療法士・臨床検査技師・歯科衛生士の中心メンバーは以下の活動をしています。
(1)全職員向けの勉強会の企画と実施
毎月さまざまな職種のスタッフが講師となり、栄養に関する知識や栄養管理の大切さを全職員に教育しています。
(2)経管栄養の患者さんに対する取り組み
消化器手術の後や集中治療室での管理が必要な患者さん、脳血管疾患(脳卒中など)で入院された患者さんなどは、一時的に口から栄養がとれず、チューブを挿入して栄養を確保する経管栄養が必要な場合があります。安全に栄養剤が投与できるよう、管理栄養士は投与が適切なスピードか、量は適正かなどを確認しています。
(3)新しく設ける食事の検討や新たに採用する栄養剤・栄養補助食品の選定
病院食の更新や栄養補助食品の採用を検討する際は、中心メンバーで味見や形態(固さや飲みこみやすさ、とろみの状態など)の確認をしたうえで採用するかどうかを決めます。
最後に、栄養は生命活動の源であると同時に、食事は楽しみや癒やしにもなります。栄養サポートチームは患者さんが退院後、食事をおいしく、楽しく食べられるように入院中から支援できたらと思いながら、活動しています。
◇
倉敷中央病院(086―422―0210)
たかせ・あやこ 玉島高校、中国短期大学食物栄養専攻卒。現在は倉敷中央病院栄養治療部室長。病態栄養専門管理栄養士、がん病態栄養専門管理栄養士、静脈経腸栄養(TNT―D)管理栄養士。
(2020年01月20日 更新)
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