休校…医療スタッフの育児支援は 県内、院内託児や休みをカバー

津山中央病院内に設けられた臨時児童クラブ。スタッフの子どもたちは勉強をしたり、トランプで遊んだりして保護者の仕事が終わるまでの時間を過ごしていた

 新型コロナウイルスによる肺炎の拡大を受けて2日から多くの学校が休校した影響で、岡山県内の病院が子どもを持つスタッフへの対応を進めている。スタッフの欠勤で診療ストップは避けたいと、小学生向けの託児スペースを設ける動きが複数であるほか、休んだ人のカバー態勢を整える職場もある。ただ専門的な仕事は代替が難しく、休校が長期化すれば業務に支障が出る可能性も危惧される。

 「当初は仕事を休むことも考えていたので、本当に助かる」。津山中央病院(津山市川崎)事務員の女性(35)=鏡野町=は感謝する。

 同病院はスタッフの状況を把握し、関連施設を含めた約30人に支援が必要と判断。3日から臨時の“児童クラブ”を設置し、平日午前8時~午後6時に対応している。春休み前日の25日まで続ける。

 女性の住む地域では休校に合わせて、地元の放課後児童クラブも休所となった。小2の長女を留守番させなければならなくなったが、年齢的にも長時間1人でいさせるのは心配だったという。

 2日から託児を始めた岡山博愛会病院(岡山市中区江崎)では1日当たり10人前後の子どもが利用する。三宅謙太郎事務局長は「近くにいれば親も子も安心して過ごせる。何より外来や入院の対応を止めるわけにはいかない」と強調する。

 倉敷中央病院(倉敷市美和)も4日、託児スペースを病院そばの研修センターに開設した。利用はないものの院内で託児体制を整えた赤磐医師会病院(赤磐市下市)の西中淳事務部長は「看護師や技術職が確保できないと病院運営が成り立たない」として今後の希望者に備える。

 スタッフのカバー態勢を充実させる病院もある。国立病院機構岡山医療センター(岡山市北区田益)は、子どもの世話で休んだ看護師の代わりに、臨床検査技師が採血をしたり、病棟看護師が外来に回ったりするなどしてバックアップしている。

 一方、岡山大病院(同区鹿田町)や岡山済生会総合病院(同国体町)、川崎医科大付属病院(倉敷市松島)などは「思ったほど休みが必要なスタッフはいなかった」とし、現時点で特段の対応は取っていない。

 しかし、全国的にみると、北海道の帯広厚生病院(帯広市)では、子どもの世話で働けなくなった看護師が相次ぎ、予約外の患者の外来診療が原則中止に追い込まれた。

 県看護協会の井上純子専務理事は「医療スタッフは不足したからといってすぐに増やせない。カバー状態も長期化すれば現場の疲弊につながる。今後の状況次第では診療体制を縮小する医療機関が出てくるかもしれない」と話している。

(2020年03月04日 更新)

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