人気の湯たんぽ 低温やけど注意 就寝中じわじわ損傷 皮膚移植手術相次ぐ

湯たんぽに添えられた注意文書。低温やけどを起こさない使い方を呼びかけている

永瀬洋・主任医長

 電気代いらずで経済的、環境にも優しい暖房具として人気が急上昇している湯たんぽ。しかし、使い方によっては低温やけどを起こす恐れがある。岡山県内でも、手術による治療が必要な重症例が相次いでおり、専門家は注意を呼び掛けている。

 岡山済生会総合病院(岡山市伊福町)は二〇〇七―〇八年の昨冬、湯たんぽによる低温やけどを負った患者に、足のつけ根などの皮膚を移植する植皮手術を二十件近く実施。今シーズンもすでに十件程度の手術を行っている。

 多くの人がやけどは熱いもので起こると思いがちだが、永瀬洋・形成外科主任医長は「四五度、五〇度といった比較的低い温度でも、五、六時間、体の同じ部分に接触し続けると低温やけどを負う恐れがある」と指摘する。

 体温より少し高い程度の温度で長時間かけて皮膚を傷める低温やけどは「寝ている間など気づかないうちに、じわじわとやけどを負うため、表皮や真皮にとどまらず皮下組織や神経まで深く損傷してしまう」と永瀬主任医長。治療に二、三カ月もかかる患者も珍しくないという。

 岡山県消費生活センターにも二〇〇七年十月、同県内の三十代女性が寝ているときに湯たんぽを使い、足に水ほうができてただれた状態になった報告が寄せられている。

 低温やけどについて、湯たんぽメーカーは製品に注意書きを添え、注意を促している。昨年までの五年間で消費者から十二件の相談を受けた製品安全協会(東京)も一月下旬、消費者向けに安全に使用するためのポイントを記したPOP(店頭販売促進広告)を作成。販売業者に提供している。

 同協会が、対策として勧めているのが、布団が温まったら湯たんぽを取り出して就寝する▽厚手のタオルで包む―など。中でも「湯たんぽが直接、皮膚に接触しない使用法を心掛けてほしい」と訴えている。

 湯たんぽは燃料費の高騰や景気悪化による節約意識の高まりで、一昨年の冬から売れ行きが好調。同協会によると、安全基準に適合したSGマーク付き製品の生産数は二〇〇四年度の約九十万個から、〇七年度は約三百万個、〇八年度は一千万個近くに達する見込み。

(2009年02月04日 更新)

※登場する人物・団体は掲載時の情報です。

タグ

カテゴリー

関連病院

PAGE TOP