新型コロナ 県内初確認から1カ月 19人 大半が海外、他県感染か

 新型コロナウイルスの感染者が岡山県内で初めて確認され、22日で1カ月となる。これまでに判明した感染者は計19人。人口当たりの感染者比率は全国平均を大きく下回り、海外や感染が多発する他県を訪れた後に発症したケースが目立っている。ただ、感染経路が不明で市中感染が疑われる事例も出ており、専門家は「感染者の急増を防げるかどうかは予断を許さない状況で、医療態勢の拡充が求められる」と指摘する。

 県内での感染が初めて確認されたのは3月22日で、スペイン旅行から帰国した岡山市の60代女性だった。その後、3月下旬から4月上旬にかけ感染確認が相次いだものの、現在はペースが落ち着きつつある。人口1万人当たりの感染者は全国で5番目に少ない0・10人(全国平均は0・84人、19日現在)。クラスター(感染者集団)も発生していない。

 感染者を市町村別に見ると、岡山市が13人で7割近くを占め、早島町3人、玉野市、赤磐市(居住地は東京)、里庄町各1人と全員が県南部。年代別は20、50代が各5人と最多で、次いで40、60代の各2人となっている。感染者を巡っては、会員制交流サイト(SNS)などに誹謗(ひ/ぼう)中傷するような書き込みも相次いでいる。

 県や岡山市によると、行動歴などから感染経路が推定できているのは15人。うち11人は旅行や出張で感染が広がっている地域を訪れており、訪問中に感染した可能性が高い。濃厚接触者として陽性が判明したのは4人で、いずれも家族内での感染とみられる。

 一方、感染経路が不明か調査中のケースは4人で、いずれも4月に入って岡山市で確認された。中でも会社員の50代男性は発症前の2週間に一度も市外に出ず、感染者との濃厚接触もないため、市中感染の可能性が否定できないという。

 全国では感染経路がたどれないため濃厚接触者の把握が困難になり、感染者が急拡大した地域が出ている。岡山大大学院の頼藤貴志教授(疫学・衛生学)は「県内も既に見えないところで感染が広がっていてもおかしくはない」と指摘。その上で「行政は医療用具の安定的な供給によって医療関係者の負担軽減を図るとともに、病院同士の協力態勢の構築に取り組むなどして地域医療の維持に万全を期す必要がある」とする。

(2020年04月21日 更新)

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