第26回 川崎医大病院② 慢性副鼻腔炎手術 原田保教授(耳鼻科) 内視鏡使って患者負担軽減

内視鏡を点検する原田教授

 副鼻 腔 ( くう ) とは 上 ( じょう ) 顎洞 ( がくどう ) 、前頭洞など鼻の周囲にある四つの穴の総称。そこにウイルス、細菌の感染症などを起こし 膿 ( うみ ) がたまる病気。 蓄膿 ( ちくのう ) 症と呼ばれた。かつては「 口唇 ( こうしん ) 粘膜と歯肉の境を切開し、顔の骨を削り、痛みと出血の激しい手術だった」。

 原田教授は直径四・五ミリの内視鏡を鼻の中へ入れ、画像を見ながら、自然孔を拡大、画像診断で確認した膿のある洞へ進め、膿を除去する。大きな骨を削らず、傷もなく、出血も従来の二十分の一ほど。手術は一、二時間ですみ、入院は五日間。「患者負担の少ない楽な手術になった。従来の手術後十数年でふくろに膿がたまり視神経を圧迫する術後性 嚢胞 ( のうほう ) などの合併症もなくなった」とメリットを話す。

 この治療法を十年前、岡山県内初めて本格実施、すでに千二百例に及ぶ。内視鏡手術を増やし、副鼻腔 腫瘍 ( しゅよう ) 、鼻性視神経症、上 咽頭 ( いんとう ) 腫瘍、甲状腺眼症など年間平均百四十例を実施している。「経験を積み上げ、治療する医師の手技で患者負担を軽減する内視鏡手術の守備範囲を広げている」と話す。

(2008年08月26日 更新)

※登場する人物・団体は掲載時の情報です。

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