笠岡市民病院 病床数や人件費削減 市、建て替えの基本構想原案発表

病床数の削減など基本構想の原案が示された笠岡市立市民病院

 笠岡市は20日、建て替える市立市民病院(同市笠岡)について、規模縮小を柱とした基本構想の原案を発表した。病床数や人件費を削減して経営改善を図り、地域医療を支える拠点として存続させる。新病院の開院は2025年度の見込み。

 原案では、利用者数の推移や近隣の病院の病床数などを踏まえて届け出病床数を現状の99から60~70床にする。支出の6割を占める医師や看護師らの年間の人件費は退職者を補充しないことで現状の約12億1千万円から約7億6千万円に圧縮。給与額などを独自に調整できる地方独立行政法人に運営を変更することも検討する。

 現在13ある診療科目はニーズの高い内科、整形外科、小児科を残し、他については「可能であれば継続」とした。救急医療や健診は続ける。

 リハビリテーション機能を重視し、全病床数のうち、急性期治療を終えた患者の在宅復帰を後押しする「地域包括ケア病床」の割合を多めにする。新病院との連携強化を狙いに、市の健康福祉部門や地域包括支援センターの併設も視野に入れることも盛り込んだ。

 建て替え場所は現在地が有力で、JR笠岡駅周辺なども検討。着工時期は未定で、総事業費は35億~40億円を見込む。今後、8月をめどに有識者を招いた基本構想策定委員会を発足し、20年度中に構想をまとめる予定。

 市民病院は1963年に現在地に移転。老朽化が進んでいるほか耐震性にも問題がある。患者数減少などで運営は厳しく、純損益は2014年度から5年連続赤字で、累積赤字額は約37億8500万円に上る。昨年9月には、国が公表した診療実績が乏しく再編・統合の議論が必要とされる全国424の公立・公的病院にも含まれた。市はこうした現状を踏まえ、市幹部でプロジェクトチームをつくり原案を練ってきた。

 小林嘉文市長は「総合病院の看板を下ろし、必要最小限の機能としたい。地域医療の最後のとりでとしての役割を果たしながら、採算性の確保に努めていく」としている。

(2020年05月21日 更新)

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