備え緩めず闘い抜く 岡山医療センター感染管理認定看護師 原清美さん

個人防護具の在庫状況をチェックする原さん。一時は品薄になったという

 中国で新型コロナウイルスの感染拡大が始まった当初、岡山でもいずれ感染者がでるのではと覚悟を決めた。特にうちの病院は乳児や小児の患者が多く、絶対に院内感染を起こしたらだめだと思ったのを覚えている。

 感染が疑われる人を受け入れる仮設診察室は3月初旬に設け、他の患者や医療スタッフと接触しないよう「ゾーニング」を徹底した。受け付け業務に当たる職員から感染への不安の声を耳にし、事務や看護部の協力を得て、窓口にアクリル板の仕切りを設けたり、外来患者の体温測定を始めたりもしている。

 30年の看護師人生で、2003年の重症急性呼吸器症候群(SARS)、09年の新型インフルエンザの対応を経験した。どちらも感染拡大期間が短かったり、流行地域が限られたりしていたので、パンデミック(世界的大流行)を引き起こした今回のウイルスの方が対応が何倍も難しいと思う。その一例が個人防護具の確保だ。

 2月から3月にかけマスクやガウン、手袋などの在庫が底を突きかけた。防護しないまま診療に当たるのは、医師や看護師に「武器を持たずにウイルスと闘ってください」と言っているようなもの。一部再利用しながら何とかしのいだが、第2波、第3波が心配だ。

 緊急事態宣言が解除されても、ウイルスは消えたわけではない。闘いは長丁場になるだろう。決して備えを緩めない、地域医療を守り抜く―。そんな覚悟で取り組みたいと思っている。

(2020年06月04日 更新)

※登場する人物・団体は掲載時の情報です。

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