サーモグラフィー導入相次ぐ コロナ対策、岡山県内の総合病院

岡山大病院が正面玄関に設置したサーモグラフィー(同大病院提供)

 新型コロナウイルス対策として、岡山県内の総合病院で体温を自動測定する「サーモグラフィー」の導入が相次いでいる。施設の入り口で来院した発熱者を判別して院内感染を防ぐとともに、手作業による検温から切り替えることで職員の負担軽減にもつなげる狙い。

 岡山大病院(岡山市)は、7月1日に正面玄関と入院棟出入り口に1台ずつ設置した。一度に30人まで測定でき、患者や付き添いの人らが通った時に37度以上だと機器の上部にある黄色の回転灯が作動し、体温が高いことを知らせる音声が出る。該当した人は職員が改めて検温し、病院側の指示に従う。岡山労災病院(同市)も試験運用を経て、6日に同じタイプを正面玄関で本格稼働させた。

 両病院とも新型コロナの感染拡大を受け、今春から来院者の検温を開始。これまでは複数の職員が非接触型の体温計で1人ずつ検温しており、1日当たり岡山大病院は2千人以上、岡山労災病院は千人以上に対応していたという。岡山労災病院は「今は職員が1人待機するだけで済み、検温待ちの列ができることもなくなった」と話す。

 岡山市立市民病院(同市)は29日、最も出入りの多い1階の西玄関に1台を設置。来週中に残る3カ所の出入り口にも配備する予定で、桐山英樹救急センター長は「新型コロナ感染症の対応に当たる医療機関としてクラスター(感染者集団)は絶対に起こせない」と強調する。

 導入を後押しするのは、新型コロナ対策を支援する国の交付金で、サーモグラフィーも対象となる。多くの医療機関が手間や時間を省けるメリットは大きいとみており、津山中央病院(津山市)も活用を計画している。

 一方、東京などで感染の再拡大が続き、サーモグラフィーの需要が高まっているため、品薄の状態も起きているという。30日から非接触型の体温計を使った検温を始めた川崎医科大付属病院(倉敷市)は「当面はマンパワーで感染防止対策を徹底していく」としている。

(2020年07月31日 更新)

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