旧生化学棟講堂リニューアル 岡山大学医学部創立150周年記念

リニューアルされた旧生化学棟の講堂。LED(発光ダイオード)の照明は学章をデザイン

吉野正氏

淺沼幹人氏

旧生化学棟の講堂で講演する清水多栄氏=1938年、「俯讀餘香」から

Jホール(手前)とリニューアルされた旧生化学棟

 岡山大学医学部(岡山市北区鹿田町)が創立150周年記念事業として進めていた旧生化学棟(鹿田会館)の講堂改修工事が完了、14日オープンします。同学部の前身・岡山医科大学時代に建設され、日本の医学・医療発展に貢献してきた歴史的建造物。「伝統の力を、未来の力へ」とまい進する同学部の“象徴”として装いを新たに再出発します。

 旧生化学棟は、木造だった生化学教室が焼失したことにともない1932(昭和7)年に再建。鉄筋コンクリート3階、延べ約2450平方メートルで西側に研究室、東側に約250人収容できる大講堂などを整備しました。現在で約15億円とされる建設費は、当時生化学を担当していた清水多栄教授(後の同医科大学長)が寄贈した私財や国費を活用。外装はタイル張りの重厚な造りで、同年には日本生化学会総会の主会場になりました。

 改修は耐震化や老朽化した設備を一新するのが目的で2014年スタート。講堂は約180席(2階補助席を合わせ約230席)とし一人当たりのスペースを拡大した上、一部吹き抜けの構造とすることで開放感を演出。音響や空調設備、トイレなどを一新し、エレベーターを新設するなど快適性も向上しています。控室なども整備しており、隣接するJホールと併用することで約600人収容となり、種々の学会などの会場として利用することも視野に入れています。

心に残るランドマーク
150周年記念事業実行委員会委員長 吉野正氏(元岡山大学医学部長)

 旧生化学棟は岡山大学で医療を学んだすべての人の心に残るランドマーク。風格に最新機能が加わり、魅力的な施設に生まれ変わりました。よき医療人の育成とともに、情報発信の場として地域の方々にも活用していただきたいと思っています。

洗練された医療人育成
岡山大学医学部長 淺沼幹人氏

 1870(明治3)年の岡山藩医学館を礎とする岡山大学医学部は、今年で創立150周年を迎えます。これまでに1万2千人以上の医師や多くの医療人を中四国地域から近畿西部地域にわたる国内屈指の関連病院、国内外の学術機関、行政機関へ輩出し、地域の皆さまに支えられ地域に貢献する医学・医療の中核であり続けています。

 現在、多くの同窓、関連病院の皆さま、地域の団体、企業のご支援をいただきながら医学部創立150周年記念事業を進めております=別表。記念事業に対して、8月末現在で総額約6億2千万円(地元企業から2億4千万円、同窓会員および教職員から3億8千万円)ものご寄付をいただいております。ご寄付、ご支援いただいた皆さまには心より厚く御礼申し上げます。

 新型コロナウイルス禍のため11月に予定していた150周年記念式典を来年に延期することになりましたが、最大の施設整備事業である旧生化学棟(鹿田会館)の歴史的講堂の大改修がこの度完了したことは、われわれにとってこの上ない喜びです。1932年建設の歴史的建造物にありながら最新鋭のレクチャー設備を導入したレトロ&モダンな講堂で、9月14日にはこけら落としの教授会を開催します。隣接するJホールと共に医学医療に限らず、さまざまな領域で岡山からの情報発信の場として活用していただけることを期待しています。

 岡山大学医学部の歴史を深化させ、未来の医学と医療をリードし皆さまの健康増進と福祉に貢献できる真に洗練された医療人を育成する医学部のあり方を、皆さまと考える年としたいと思います。医学部創立150周年記念事業は今年以降も継続してまいりますので、皆さまのさらなるご支援とご協力をお願い申し上げます。

(2020年09月14日 更新)

※登場する人物・団体は掲載時の情報です。

関連病院

PAGE TOP