軽度認知障害を簡易検査 倉敷中央病院予防医療プラザ、岡山旭東病院健康センター

検査は対面方式の記憶検査。複数回行われる想起パターンの変化などを分析し、認知機能の現状を数値で評価する=倉敷中央病院付属予防医療プラザ

 倉敷中央病院付属予防医療プラザ(倉敷市鶴形)と岡山旭東病院健康センター(岡山市中区倉田)は、健常と認知症との中間の状態とされる軽度認知障害(MCI)の可能性を数値で示す簡易検査「あたまの健康チェック」の運用を始めた。脳の働きが日常生活に支障の無い段階から、物忘れなど認知機能の低下の度合いを定期的にチェックして自覚を促し、リスク要因となる生活習慣病などの改善にもつなげてもらう。

 MCIは、物忘れはあるが日常生活には支障の無い状態。年間10~30%が認知症になるとされる。厚生労働省の推計(2012年)では、65歳以上の認知症は全国で462万人、MCIは400万人いるという。糖尿病や高血圧といった生活習慣病が認知機能低下のリスク要因と言われ、ライフスタイル改善による予防や改善効果も指摘されている。

 倉敷中央病院付属予防医療プラザの菊辻徹所長は「認知症には特効薬がないので予防が重要だ。MCI以前の段階で適切に対応すれば、進行を遅らせたり正常な状態に回復したりすることができる」と言う。

 検査は10分程度で、対面方式で行う記憶テスト。10の単語を何度か思い出してもらったり、3匹の動物の中から仲間はずれを選んでもらったりする。被験者の年齢や学習年数などを加味して作業記憶や短期記憶、決定能力を分析し、認知機能を数値で評価する。

 このサービスを展開する「ミレニア」(東京)の新山賢司アライアンス事業部長は「これまで若くて元気な人を対象にした認知機能の検査はなかった。12万人以上のデータを統計学的に処理して得られた計算式で、客観的に評価できるのが特徴」と説明する。

 倉敷中央病院付属予防医療プラザは7月、岡山県内の健診施設としては初めて導入し、脳ドックの標準項目に加えている。オプションでも受けられる。岡山旭東病院健康センターは9月から、脳ドックを希望する人にオプションで提供している。

 両施設は「この検査で認知症と生活習慣病の関係にも着目してもらい、自分のライフスタイルを考え直すきっかけになれば」と話している。

(2020年09月21日 更新)

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