スズメバチが活動期、注意を 猛暑で巣が小型化、見つけにくく

巣に群がるキイロスズメバチ。今年は猛暑の影響で巣の小型化が進んでいる(日本スズメバチ研究所提供)

 スズメバチが活発に動き回る季節を迎えている。今年は猛暑の影響で個体数が減少している一方、巣が小型化して見つけにくくなっているとみられ、岡山県内では知らずに近づいて刺され、救急搬送される人が後を絶たない。野山に出掛ける機会が増える行楽シーズンとも重なり、専門家が注意を呼び掛けている。

 害虫駆除を手掛ける県ペストコントロール協会(岡山市北区延友)によると、スズメバチは春以降に女王バチが巣を作って産卵を始める。8月に巣作りや子育てを手伝う働きバチを最も多く産むため、9、10月には餌などを求めてあちこちを飛び回り、被害が続発する傾向がある。

 今年は夏の記録的な猛暑で営巣が停滞し、巣が小型化して女王バチが産む卵の数も減少しているという。ただ、同協会は「小型で発見しづらい巣が土の中や低木の茂みに隠れている恐れがあり、かえって危険と言える」と警鐘を鳴らす。

 県内では今年に入り、15日現在でハチに刺されたとして岡山市消防局と津山圏域消防組合がそれぞれ18人、倉敷市消防局が16人を救急搬送した。岡山市内で8月、スズメバチに全身8カ所を刺された同市の女性(24)は「道路脇の低い茂みに巣が隠されており、近づくまで気付かなかった」と振り返る。

 スズメバチに刺された場合、急性アレルギー反応(アナフィラキシーショック)で吐き気やめまいが起き、呼吸困難に陥ったりして死に至ることもある。厚生労働省によると、毎年10~20人がハチに刺されて死亡している。

 スズメバチの生態を長年研究している日本スズメバチ研究所(赤磐市桜が丘西)の西崎健二代表は「活動が鈍る11月まではハチの巣が近くにないか常に注意を払うことが重要」と助言する。刺された場合はすぐにその場を離れ、患部を冷やすなど応急処置を施した上で「体調に変化があれば、すぐに救急車を呼ぶか、医療機関を受診してほしい」と話している。

(2020年09月23日 更新)

※登場する人物・団体は掲載時の情報です。

カテゴリー

PAGE TOP