第48回 岡山大病院③ 形成外科 乳房再建で実績 他診療科と連携

乳房再建術をする形成外科医

木股敬裕教授

難波祐三郎准教授

 形成外科は二〇〇〇年四月、中国地方の国立大学病院として初めて開設された。体に生じた外傷や形態異常などを手術し、機能回復だけでなく形態的にも正常に近い形に再建。患者のQOL(生活の質)向上につなげている。

 がん切除後の患部の再建のほか、切断された手足をつなぐ「切断肢再接着術」は年間四十―五十例で中四国トップ。性同一性障害の患者には、大学病院として国内唯一の性別適合手術も行っている。

 同科を束ねる木股敬裕教授は、頭 頸 ( けい ) 部をはじめとする再建外科を全般的に担当。難波祐三郎准教授は耳の先天異常や性同一性障害など、長谷川健二郎講師は手足の先天異常や切断肢再接着などがそれぞれ専門で、計十人の医師が診療に当たる。

 「他の診療科と共同してチーム医療を行うことで、うちの科のパフォーマンスが発揮できる」と木股教授。他の診療科との合同カンファレンスを重視し、患者の症状に応じて総合的なチーム医療を提供できる体制を整えている。

 昨年五月に開設した「乳がん治療・再建センター」はその一つ。乳腺・内分泌外科の医師らと連携し、 腫瘍 ( しゅよう ) の切除後、患者本人の組織を移植して速やかに乳房を再建する。手術後、数カ月―数年後に乳房の形を整える「二次再建」にも取り組み、三月末までに計四十七例に達する見込み。

 保険適用外だが、シリコン製の人工バッグを使って再建する「乳房インプラント手術」も四月から始める予定。再建を担当する徳山英二郎助教は「治療の選択肢を増やすのが狙い。患者本人の組織を移植する場合に比べて傷も目立たず、手術時間や入院期間の短縮が見込める」と話す。

 高度な医療技術を生かし、特殊な疾患への診療として「小児 頭蓋 ( ずがい ) 顔面形成センター」を二月に新設。脳神経外科と形成外科、矯正歯科が中心となり、頭蓋骨や顔面に変形がある子どもの治療を行う。

 美容外科分野への展開も視野に入れる木股教授は「他の医療機関との役割分担も踏まえ、西日本の形成・再建・美容の各外科分野で中心的な役割を果たしたい」と力を込める。

(2009年03月30日 更新)

※登場する人物・団体は掲載時の情報です。

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