岡山中央病院の新棟稼働 リハビリ、透析治療充実
1階のリハビリテーションセンター。歩行訓練用の天井走行リフトが2基、設置されている。重度のまひや、筋力の低下した患者がリフトに支えられ、安全に訓練ができる。各種筋力トレーニングマシーンのほか、自宅の浴槽でゆったり入浴できるようにするため、浴槽の高さや手すりの位置が調整できる訓練用の浴槽ユニットもある
透析センターの各ベッドはゆったりとした空間を確保。間仕切りで区切られ、隣の患者と視線を合わすことなく、リラックスできるよう工夫した。金重院長は「透析は週に3回必要で、1回に4時間以上かかる。少しでも快適に過ごしてもらえれば」と話す。完全個室も4室設けた
南に面したリハビリ庭園は4階の回復期リハビリテーション病棟とつながっている。アジサイ、モミジ、サルスベリのほか、サクランボやブルーベリー、オリーブなど実のつく樹木も植えられている
透析センターには、感染症対策として、内部の空気が外に漏れないよう陰圧状態が確保できる個室を3室設けた。インフルエンザなどにかかっていたとしても、通常の玄関とは別の入り口からエレベーターを使って直に出入りできる
バースセンターの病室は落ち着いた雰囲気。30平方メートル以上と広く、家族で過ごせる部屋もある。「食事は専属のシェフが3食調理。パンは近隣の有名店から取り寄せている。高級ホテル以上の満足を提供したい」と金重院長は話している
新棟は鉄筋コンクリート5階建て延べ8600平方メートル。1階にリハビリテーションセンター▽2階は産婦人科バースセンター▽3階は透析センター▽4・5階は回復期リハビリテーション病棟となっている。
回復期リハビリテーション病棟は70床。「生活そのものがリハビリ」との考えから、直線距離で約50メートルある廊下には歩行訓練のため5メートルごとにラインを描き、階段でもリハビリができるよう段差を低くした。寝たきりや手厚い介助が必要な患者でも天井走行リフトに乗って病室から浴室やトイレへ移動できる。
金重総一郎院長は「1階のリハビリテーションセンターも含め、急性期から回復期、退院後のリハビリが手厚く、スムーズにできる体制を整えた」と言う。
透析センターは外来透析ベッドを80床設置した。各スペースは2メートル以上の幅を確保し、隣のベッドとの間には高さ1・3メートルの間仕切りがあって患者同士のプライバシーに配慮。透析液の水質管理を厳重に行い、より多くの老廃物を除去できて患者の体に優しい「オンラインHDF」を全床導入した。感染症対策として、外部から直接入室できる陰圧の個室3室も備えた。
バースセンター(24床)は各病室が30平方メートル以上と広く、明るい造りとなっている。ベッドは硬さや好きな体勢を自由に設定でき、入眠すると自動で感知して眠りに適した姿勢に戻るという。家族で過ごせるよう畳敷きの居間がついた部屋もある。出産以外の緊急疾患に対しては、救急科や各診療科のスタッフが協力し速やかに治療に当たる。
(2020年11月17日 更新)
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