(7)周産期母子医療センター 津山中央病院副院長・産婦人科周産期センター長 河原義文

河原義文副院長

 妊娠出産は子孫繁栄のためには自然な現象ですが、母親・新生児にとっては絶対安全とは言えず、危険も潜んでいます。妊婦健康診査(妊婦健診)は、母子の状態を診断し異常が起きているかどうか判断し、より安全な方法で出産を迎えてもらうための診察です。

 妊娠中に発生した産科合併症(妊娠高血圧症候群、前置胎盤、胎児発育不全など)や多胎妊娠と診断された場合、あるいは高血圧、腎疾患、膠原病(こうげんびょう)、精神疾患などの合併症妊娠、または社会的ハイリスク妊娠には、より慎重な管理および分娩(ぶんべん)後のフォローが必要となり、当院のような周産期母子医療センターへ母体搬送となる場合も多いです。

 岡山県には周産期母子医療センターが6施設あります。岡山市に岡山医療センター、岡山大学病院、岡山赤十字病院、倉敷市に倉敷中央病院、川崎医科大学附属病院、県北には津山中央病院の6施設です。

 津山中央病院は地域周産期母子医療センターとして、県北の周産期医療を支えていると自負しています。周辺の産科医療施設の医師とは顔の見える関係で気軽に相談をしていただいており情報共有もしております。県北で、より手厚い医療が必要になった妊婦・褥婦(じょくふ)の紹介・搬送は絶対に断らないという方針で施設運用しております。

 もし当院の新生児集中治療室(NICU)が満床、あるいは当院NICUでは、治療できない症例の場合にも当院産科に搬送していただき、当院から県南の周産期センターにお願いするという方法(三角搬送)で、県北の産科施設のストレスを少しでも軽減できるよう配慮しております。

 当院NICU入院は、妊娠30週以降、児推定体重1300グラム以上を基準としており、基準を満たさない児が生まれそうな場合には、県南の総合周産期母子医療センターの岡山医療センターへ搬送することが多いです。また、当院のNICU基準に達した妊婦は津山に逆搬送されて帰ってくる(戻り搬送)も行われています。

 また妊娠中は大きな問題がなくて、出産後児に異常が発生した場合には当院NICUに新生児搬送となり、当院から小児科医師が児を迎えに行きます。当院NICUで新生児の治療を開始したが、当院での治療が困難な場合には、県南の周産期母子医療センターへ搬送される場合もあります。岡山県は周産期母子医療センター間での連携が良く、スムーズな母子の治療につながっていると思います。

     ◇

 津山中央病院(0868―21―8111)

 かわはら・よしふみ 岡山大安寺高校、山形大学医学部卒。岡山大学産婦人科、住友別子病院、国立福山病院、公立雲南総合病院などを経て1994年から津山中央病院勤務。2020年4月に周産期センター長就任。医学博士。日本産婦人科学会専門医・指導医、日本周産期・新生児学会暫定指導医。

(2020年11月17日 更新)

※登場する人物・団体は掲載時の情報です。

タグ

関連病院

PAGE TOP