岡山、倉敷 救急搬送先決定に時間 コロナで逼迫か 照会4回以上急増

岡山市内の病院に到着した救急車=25日

 岡山、倉敷市の消防局で11月末以降、救急患者の受け入れを医療機関に4回以上照会し、搬送までに時間を要した事例が急増していることが分かった。いずれも速報値だが、事例は前年同期に比べ1・8~4・5倍に増えている。新型コロナウイルスの流行「第3波」で、岡山県内のコロナ患者を受け入れている主な病院の医療提供体制が逼迫(ひっぱく)していることなどが要因とみられる。

 岡山市消防局管内(岡山市、吉備中央町)の4回以上の照会は、11月30日~12月6日が7件(前年同期比4件増)▽7~13日は18件(10件増)▽14~20日は18件(14件増)。11月30日~12日20日は前年同期の2・9倍となり、14~20日は4・5倍に急増している。

 搬送先が決まらないといった理由で、救急車の現場到着から医療機関に向かうまでに30分以上要したケースは、11月30日~12月20日は56件(9件増)だった。

 倉敷市消防局管内(倉敷市、早島町、浅口市金光町地区)の4回以上の照会は、12月1~20日で72件(32件増)で1・8倍。出発までに30分以上かかったケースは82件(21件増)。

 県内の新型コロナ流行「第3波」は11月に入って本格化した。12月19日には60人、翌20日は111人の感染が確認されるなど、新型コロナ患者を受け入れている病院は、そのケアに多くの人手を振り向けている。「新型コロナ患者の急増で、他の病気の救急患者の受け入れが難しくなっているのではないか」と岡山市消防局は指摘する。

 態勢強化に向け、県は24日までに新型コロナ患者向け病床を新たに99床確保。計401床となったその病床の使用率は38・9%(22日時点)で、政府の分科会が示す緊迫度の高い「ステージ3(感染急増)」の指標の一つに該当する。

 新型コロナの感染動向は、初詣など年末年始の行動が大きく影響する。倉敷市消防局は「さらに感染が拡大すれば、救急患者の搬送先を見つけるのが今以上に困難になる恐れがある」と危惧している。

(2020年12月28日 更新)

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