笠岡第一病院3医師に聞く 「褥瘡」「睡眠時無呼吸症候群」「人工透析」

睡眠時無呼吸、持続陽圧呼吸療法

【写真左から】岡博昭副院長、米山浩英呼吸器内科診療部長、原田和博付属診療所長

 高齢化が一因に挙げられ、合併症も懸念される「褥瘡(じょくそう)(床擦れ)」「睡眠時無呼吸症候群(SAS)」。その症状や治療法のほか、患者が増加する「人工透析」について、笠岡第一病院(笠岡市横島)の岡博昭副院長(形成外科)、米山浩英呼吸器内科診療部長、原田和博付属診療所長(内科)に聞いた。

褥  瘡

 骨突出部の皮膚が圧迫されて血行が悪くなり、組織が壊死(えし)する。寝たきりのお年寄りらによく見られ、骨盤中央の仙骨、腰の大転子、尾骨、かかとなどの部位に多く生じる。皮膚が赤くなり「ひどくなると骨や筋肉が露出し、治すのに数カ月はかかる」と岡副院長。

 治療は、患部を保護し湿潤な状態を保つ被覆材や、傷を治すためにできてくる「肉芽」の形成を促す外用薬などを使う。4月から保険適用となった陰圧閉鎖療法は、スポンジ状の物質を当て被覆材で密閉した患部に、吸引用チューブをつなぎ陰圧状態を保つ。「肉芽形成を促進し傷の縮小化が早まる」と効果を話す。

 傷が深く大きい場合は壊死組織を切除し、周辺の皮膚や皮下組織を移動させる外科手術を行う。褥瘡の予防、ケアには「体位変換や、エアマットなどの体圧分散用具を使うことが有効」と説く。

睡眠時無呼吸症候群

 睡眠中、呼吸が何度も止まる疾患。医療機関の睡眠検査で、10秒以上の無呼吸や低呼吸が1時間当たり5回以上認められ、日中の眠気、夜間頻尿などを伴う場合に確定診断される。

 脳から呼吸の指令が出なくなる「中枢型」もあるが、大半は気道が狭まって生じる「閉塞(へいそく)型」。舌根部の沈下、老化に伴う筋力低下、へんとう肥大などが原因で「いびきをかき肥満、あごが小さい人は要注意」と米山医師は話す。

 治療は、鼻にマスクを着けて空気を送り込み、気道の閉塞を防ぐ持続陽圧呼吸療法装置が有効=図参照。下あごを前へ出し気道が広がるようにした歯科装具(マウスピース)や、外科手術のほか、減量、気道確保のため横向きで眠る方法もある。「心不全、脳梗塞(こうそく)や、居眠り運転などを引き起こしやすいため、気になる人は受診を」と語る。

人工透析

 体内の毒素を尿中に排せつし、水分や電解質の調節などして生命を維持する腎臓。腎機能が悪くなったとき、人工的に血液を浄化する療法が人工透析。原田医師は「腎臓病は糖尿病や加齢が大きな原因。国内の慢性透析患者は高齢化や糖尿病患者の増加とともに増え約30万人」と言う。

 腎機能が低下すると倦怠(けんたい)感、食欲不振、貧血、むくみなどの症状が出る。心不全、脳卒中なども起きやすくなるため、人工透析か腎移植が必要となる。人工透析のうち血液透析は、血液を腕の血管から体外に循環させ、半透膜を通し浄化する。透析施設で週3回、通常1回4時間をかけ行う。本人の腹膜を利用し、在宅で自己治療できる腹膜透析もある。

 腎臓病は尿タンパクの検出、血中のクレアチニン値の上昇などが認められる。「初期なら薬で進行を止められる。健康診断で早期発見し治療を」と呼び掛ける。

(2010年10月18日 更新)

※登場する人物・団体は掲載時の情報です。

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