デルタ株拡大、第5波様相鮮明に 県内コロナ感染8千人超 若年化も

 岡山県内で確認された新型コロナウイルス感染者が29日、8千人を超えた。6月下旬以降、新規感染者はゼロの日もあったが、7月中旬から再び増え始め、学校や飲食店などでクラスター(感染者集団)も続発。流行「第5波」の様相が鮮明になってきた。より感染力の強いインド由来の変異株「デルタ株」の広がりと、ワクチンをまだ接種していない若い世代の感染が目立っている。

 1日当たりの感染者数の推移を見ると、今春の流行「第4波」は5月8日に189人とピークを迎えた後、県への緊急事態宣言(6月20日まで)の発令もあって徐々に収束。しかし、7月10日以降は一転、20日連続で前週の同じ曜日を上回って感染拡大が続いており、28、29日はいずれも50人超にまで増えた。

 県によると、7月の感染者(29日時点)は453人。1週間単位で見ると、週を追うごとに3倍程度に急増する状況を繰り返している。これは第4波の初期と似た傾向といい、今後も同様のペースで拡大した場合、4段階ある感染状況は現在の「ステージ2(漸増)」から、8月上旬に「ステージ3(感染急増)」、中旬には最も深刻な「ステージ4(爆発的感染拡大)」に突入する―と試算する。

 再拡大の最大の要因はデルタ株。第4波の主流だった英国由来の変異株は従来株より高い感染力で猛威を振るったが、デルタ株の感染力はそれをさらに上回るとされる。県内では7月2日に初めて感染の疑い(後に確定)が公表され、29日時点では感染疑いを含めて67人に上っている。

 感染者の若年化も特徴の一つで、7月の感染者のうち30代以下は255人(56・3%)と過半数に達し、40、50代を合わせれば実に8割を超える。一方、60代以上は25人(5・5%)にとどまり、ワクチン接種の効果とみられている。

 岡山大大学院の頼藤貴志教授(疫学・衛生学)は、首都圏や関西での感染拡大や、夏休みやお盆時期の人流の増加、デルタ株の拡大などから「今後、岡山でもさらに感染が広がっていく。今は大丈夫でも、このまま感染拡大が続けば、再び医療体制の逼迫(ひっぱく)を招く懸念もある」と指摘。マスク着用や手指消毒、3密(密閉、密集、密接)回避といった基本的な感染対策をあらためて求めた上で、「体調が少しでも悪い場合は仕事や学校を休み、病院を受診して検査してほしい」と呼び掛ける。

(2021年07月30日 更新)

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